À la Santé H.12 Six Poèmes de Guillaume Apollinaire |
ラ・サンテにて ギョーム・アポリネールの6つの詩 |
Que lentement passent heures Comme passe un enterrement Tu pleureras l'heure où tu pleures Qui passera trop vitement Comme passent toutes les heures. |
何と時間はゆっくりと過ぎてゆくのだろう まるで通り過ぎる葬列のように お前は嘆くのだろう お前が嘆いているこのときが あまりに速く過ぎ去っていくことを あらゆる時間が過ぎ去ってゆくのと同じように |
1915年に書かれたオネゲル初期の傑作が「6つのアポリネールの詩」です。ドビュッシーの歌曲のような美しさを湛えながら、いかにもオネゲルらしいかっちりとした構成感も見せて実に個性的で聴きごたえのある歌曲集。オネゲルの歌曲自体がほとんど演奏されることがないのでこれらも知られざる作品となってしまっておりますがたいへんに惜しいことです。1918年にソプラノのジャーヌ・バトリによって初演されていますが、そのオマージュとして1999年にアメリカのソプラノ、ドーン・アップショウがパリで開いたコンサート「ジャーヌ・バトリへのオマージュ」でのライブ録音がこの歌曲集の魅力を余すことなく伝えてくれています。
さて、その第一曲目は、詩人ギョーム・アポリネールが、ルーブル美術館での美術品盗難の冤罪でこのラ・サンテ監獄に1週間収容されたときの思いを詩にしたためたものの中からその一部。以前ショスタコーヴィチが交響曲第14番「死者の歌」の中で取り上げているものをご紹介したときにその全部を訳しておりましたのでここでもそれをご紹介いたしましょう。
ラ・サンテ監獄にて 原詩対訳
ただぼんやりと時間をもてあまして想いにふけっている感じが良く出ています。ピアノ伴奏のきらめく高音の響きが見事。
( 2011.10.29 藤井宏行 )