Chant FWV. 83 |
歌 |
Pour moi sa main cueillait des roses A ce buisson, Comme elle encore à peine écloses, Chère moisson. La gerbe,hélas! en est fanée Comme elle aussi; La moissonneuse moissonée Repose ici. Mais sur la tombe qui vous couvre, Ô mes amours! Une églantine,qui s'entr'ouvre, Sourit toujours. Et,sous le buisson qui surplombe, Quand je reviens, Une voix me dit sous la tombe: “Je me souviens.” |
私のためにその手はバラを摘んでくれた この茂みの中で 彼女と同じように まだ咲き初めたばかりの 素敵な収穫 その花束は ああ!しおれてしまったのだ 彼女と同じように この花を摘み取ったひとは ここに眠っている だけど君を覆う墓の上に おお私の愛するひとよ! 一輪の野バラが咲いて いつもほほ笑んでいる そして 張り出した茂みの下へ 私が戻ってくるときには 声が私にいつも墓の中からささやきかけるのだ 「覚えています」と |
亡くなった恋人の追想を彼女の墓の前でする主人公。悲しみとそして甘い思い出が混ざり合って、静かに彼女のことを偲びます。フランクのほのかに悲しみを湛えた、しかし決して暗くはならないメロディが見事にこの情景を描き出します。
この曲、多くのCDなどではLied(リート)というタイトルで紹介されており、もしかするとその方が正なのかも知れませんが、この詩と曲でタイトルをわざわざドイツ語にする理由も分かりませんので、ここでは原タイトルはフランス語で、邦題は日本語に訳して「歌」としました。
( 2011.10.23 藤井宏行 )