L'absent CG. 327 |
そこにいない人 |
Ô silence des nuits dont la voix seule est douce, Quand je n'ai plus sa voix, Mystérieux rayons,qui glissez sur la mousse Dans l'ombre de ses bois, Dites-moi si ses yeux,à l'heure où tout sommeille Se rouvrent doucement Et si ma bien-aimée,alors quemoi je veille, Se souvient de l'absent. Quand la lune est aux cieux,baignant de sa lumière Les grands bois et l'azur; Quand des cloches du soir qui tintent la prière Vibre l'écho si pur, Dites-moi si son âme,un instant recueillie, S'élève avec leur chant, Et si de leurs accords la paisible harmonie Lui rappelle l'absent! |
おお 夜の静けさよ ただひとつの声だけが甘く響く 私にはもう彼女の声が聞こえなくなったというのに 不思議な光は 苔の上を滑っている この森の陰の中で 私に告げよ 彼女の瞳は すべてが眠るこのときに 優しく開かれるのか そして私の愛するひとは 私が眠らずにいる間 いなくなった者を覚えていてくれるのだろうか 月が天にあって その光を浸すときに この深い森の中に 夕暮れの鐘が祈りの時を告げて こだまが清らかに震えるときに 私に告げよ その魂は 一瞬にして集められて 歌と共に昇って行くのかどうかを そしてこの平和なハーモニーの調和が いなくなった者を思い出させるのかどうかを! |
作曲者自身の詩による曲です。この曲が書かれたのには面白い逸話があります。数日の出張の予定でグノーはロンドンに出かけたのですが、それから3年間家に戻らず、その赦しを乞うために妻に書き贈ったのがこの曲だというのです。芸術家というのはスケールが違うな、と凡人には思いもつかぬ行動に驚かされてしまいますが、ほんとうのところは分かりませんけれども、妻の方もこれを許したのだそうです。
そんな逸話を抜きにしてもこの曲は有名になる素地は備えているでしょうか。グノーお得意の流麗な美しいメロディに彩られて、夢見るように美しい歌です。
( 2011.10.08 藤井宏行 )