TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


La pastoura als camps    
  Chant d'Auvergne Vol.1
野原の羊飼い娘  
     オーベルニュの歌 第1集

詩: フランス語の民謡 (chanson folklorique,-) 
      

曲: カントルーブ (Marie-Joseph Canteloube de Malaret,1879-1957) フランス   歌詞言語: オック語


Quon lo pastouro s'en bo os cams,
Quon lo pastouro s'en bo os cams,
Gardo sèï mountounadoï,
Tidera la la la la la loï!
Gardo sèï mountounadoï!

Guèlo rèscoutr' un moussurèt,
Guèlo rèscoutr' un moussurèt,
Lou moussou l'ogatsavo,
Tidera la la la la la loï!
Lou moussou l'ogatsavo.

“Ah! Daïssa mè bous ogasta!
Ah! Daïssa mè bous ogasta!
Sès ton poulido filho!
Tidera la la la la la loï!
Sès ton poulido filho!”

“Estaco boustrè cabalet,
Estaco boustrè cabalet,
O lo cambo d'un 'aôbré,
Tidera la la la la la loï!
O lo cambo d'un 'aôbré!”

È lo perdri,quan lo tènio,
È lo perdri,quan lo tènio,
Guèlo s'en ès onado,
Tidera la la la la la loï!
Guèlo s'en ès onado!

羊飼いの娘が野原に出かけ
羊飼いの娘が野原に出かけ
羊の番をしているときに
ティデラ ラ ラ ラ ラ ラ ロイ
羊の番をしているときに

ひとりの立派な紳士に会ったのさ
ひとりの立派な紳士に会ったのさ
その紳士は娘を見つめた
ティデラ ラ ラ ラ ラ ラ ロイ
その紳士は娘を見つめた

「ああ! お前をじっくり見させておくれ!
ああ! お前をじっくり見させておくれ!
お前はとっても可愛いよ 娘!
ティデラ ラ ラ ラ ラ ラ ロイ
お前はとっても可愛いよ 娘!」

「だったら馬をしっかり繋いで
だったら馬をしっかり繋いで
あの木にしっかり繋いでよ
ティデラ ラ ラ ラ ラ ラ ロイ
あの木にしっかり繋いでよ」

それで彼は娘を逃してしまった 手に入ったと思ったのだけど
それで彼は娘を逃してしまった 手に入ったと思ったのだけど
娘は逃げて行ってしまったのさ
ティデラ ラ ラ ラ ラ ラ ロイ
娘は逃げて行ってしまったのさ


南仏の山岳地帯にあるオーベルニュ地方に伝わる民謡をカントルーブが採譜し管弦楽伴奏に編曲したもので、5集まであって全部で27曲(1曲が更に何曲かの合成になっているものもありますのでそれも分けて数えると30曲ほど)、歌われる言葉はこの地域固有のオック語と呼ばれるものですが、標準フランス語とはまるで別物、翻訳しようにもフランス語を少し齧った程度のものには全く手の出せない歌詞です。いくつかの英語やフランス語・日本語の対訳を見比べて、一番原詞にニュアンスが近そうな内容で訳出してみました。従っておそらく全曲取り上げるのは無理でしょうが、有名な曲はできるだけ取り上げてみたいと思います。
第1曲はユーモラスなナンパの失敗のお話、ですが音楽は典雅ささえも漂わせる穏やかでほんのりと悲しさも感じさせるもの。4節目だけメロディが変わってちょっと激しさを見せますが、5節目ではまたもとの音楽が帰ってきて曲を閉じます。歌曲集の最初のつかみとしての十分な不思議な味わいの音楽。管弦楽の色彩感も豊かです。

( 2011.10.08 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ