TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Apaisement   Op.13-1  
  Quatre melodies
静寂  
     4つの歌

詩: ヴェルレーヌ (Paul Verlaine,1844-1896) フランス
    La bonne chanson 6 La lune blanche

曲: ショーソン (Amédée-Ernest Chausson,1855-1899) フランス   歌詞言語: フランス語


La lune blanche
luit dans les bois.
De chaque brahche part une voix
sous la ramée.
O bien aimée....

L'étang reflète,
profond miroir,
la silhouette du saule noir
où le vent pleure.
Rêvons,c'est l'heure.

Un vaste et tendre apaisement
semble descendre
du firmament
que l'astre irise.
C'est l'heure exquise!

真っ白な月が
森に輝き
枝々からは声が漏れてくる
大きな枝の間を通り抜けて
おお、愛する人...

池の水は映している
深い鏡のように
この黒い柳の木々のシルエットを
風がすすり泣いている
夢を見ようよ、今がその時だ

深遠で穏やかな静寂が
降ってくるようだ
空の上から
月は虹色に輝いている
なんて素敵な時なんだ


ヴェルレーヌの「良き歌(優しき歌)」にあるたいへん有名な詩で、歌曲になったものとしてもフォーレやアーンの作品が良く聴かれていますが、ショーソンにもこの詩につけた歌曲があるというのはあまり知られていないでしょうか。静謐な夜の情景描写はいずれも素晴らしく、ショーソンもまた美しいエクスタシーの情景を描き出しています。ピアノの淡々と打ち鳴らされる連打は降り注ぐ月の光でしょうか。フォーレやアーンのものよりも研ぎ澄まされた静けさの描写が見事です。タイトルのApaisementは3節目に出てくる言葉ですね。詩の訳に合わせて訳語は「静寂」としました。

( 2011.08.13 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ