Tief im Herzen trag' ich Pein Op.138-2 Spanische Liebeslieder |
心の底深く悲しみを抱いて スペインの愛の歌 |
Tief im Herzen trag' ich Pein, muß nach außen stille sein. Den geliebten Schmerz verhehle tief ich vor der Welt Gesicht; und es fühlt ihn nur die Seele, denn der Leib verdient ihn nicht. Wie der Funke frei und licht sich verbirgt im Kieselstein, trag' ich innen tief die Pein. |
心の底深く悲しみを抱いて 外に向かっては沈黙しなければならぬ 愛することの悲しみを隠しているのだ 深く世の中の視線の前から そして苦しみを感じているのはこの魂だけだ 肉体にはこの苦しみはふさわしくないのだから 自由に明るい火花が 火打石の中に隠れているように 私はこの中に抱いている 深い苦しみを |
作品74の「スペインの歌芝居」の姉妹作品で、独唱や様々な組み合わせの重唱曲からなる作品です。詩も作品74と同じくエマニュエル・ガイベルがスペインの古謡や民謡をドイツ語訳したものに付けており、コンセプトは全く一緒と言えましょう。作曲はどちらも1849年と一緒なのですが、こちらは作曲者の死後に出版されたためにだいぶ大きな作品番号となっています。確かに作品74に比べると、ちょっとメロディの魅力が弱いところもあり、シューマンが生前に出版しなかったのも分かるような気がします。
さて、第一曲はピアノの独奏曲(前奏曲〜ボレロのテンポで)ですので、歌はこの第2曲からになります。この詩はヴォルフのスペイン歌曲集にも取り上げられている16世紀ポルトガルの詩人ルイス・バス・デ・カモンイシュという人。シューマンは独唱で実にしんみりとしたメロディを付けました。
( 2011.08.06 藤井宏行 )