Melancholie Op.74-6 Spanisches Liederspiel |
メランコリー スペインの歌芝居 |
Wann,wann erscheint der Morgen, Wann denn,wann denn,wann denn, Der mein Leben löst Aus diesen Banden! Ihr Augen,vom Leide So trübe,so trübe! Saht nur Qual für Liebe, Saht nicht eine Freude, Saht nur Wund' auf Wunde, Schmerz auf Schmerz mir geben, Und im langen Leben Keine frohe Stunde. Wenn es endlich doch geschähe, Daß ich säh' die Stunde, Wo ich nimmer sähe! Wann,wann erscheint der Morgen, Wann denn,wann denn,wann denn, Der mein Leben löst Aus diesen Banden! |
いつに、いつになったら朝はやってくるのか? 一体いつ、一体いつ、一体いつなんだ! ぼくの人生が解き放たれる朝は この束縛から 瞳よ 悲しみで 曇っている 曇っているな! 愛の代わりに苦しみだけを見て ひとつの喜びすら見ていない ただ傷また傷ばかりを見るだけで 痛みに次ぐ痛みをぼくに投げつける そしてこの長い人生で ひとつも楽しい時はなかった だけど最後に一度くらいはあってほしい ぼくが素晴らしい時を見られることを 今まで一度もみることのなかった時を いつに、いつになったら朝はやってくるのか? 一体いつ、一体いつ、一体いつなんだ! ぼくの人生が解き放たれる朝は この束縛から |
この作品74では独唱曲は3曲しかなく、このうちの最初がこの第6曲です。地味に悲しみを歌っている曲ですが歌い手の人気は高く、男女ともに結構よく取り上げられます。ここでの訳は気持ち的に男の独り語り的に仕上げてみました。Wenn es endlich以下の邦訳が解釈がいろいろ分かれているようですが(春秋社のシューマン歌曲全集・志田麓訳では、となっていました)。直訳では「ぼくが決して見ることのない時を見ることが最後にやってくるのはいつなのだ」ということで、この「決して見ることのない時」というのを上での愚痴を受けて「楽しいとき」と解釈するか、それとも「見ることのない時を見る」とはつまり死んでしまうことではないかと解釈するかの違いです。後者の解釈にも説得力を感じつつも、前者の方が多数なので、ここではこちらを取りました。なんとなく情けない愚痴になってしまっておりますが。原詩は16世紀のFrancisco de Sá de Mirandaというひとのもののようです。
( 2011.07.21 藤井宏行 )