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Ballade de la reine morte d'aimer   M.4  
 
愛に死せる王女のためのバラード  
    

詩: マレ (Roland de Marès,1874-1955) ベルギー
      

曲: ラヴェル (Maurice Ravel,1875-1937) フランス   歌詞言語: フランス語


En Bohême était une Reine,
Douce soeur du Roi de Thulé,
Belle entre toutes les Reines,
Reine par sa toute Beauté.

Le grand Trouvère de Bohême
Un soir triste d'automne roux
Lui murmura le vieux: »Je t'aime!«
Âmes folles et coeurs si fous!...

Et la Très Belle toute blanche
Le doux Poète tant aima
Que sur l'heure son âme blanche
Vers les étoiles s'exhala...

Les grosses cloches de Bohême
Et les clochettes de Thulé
Chantèrent l'Hosanna suprême
De la Reine morte d'aimer.

昔、ボヘミアに王女様がおりました
トゥーレの王の優しい妹
王女たちの中では一番美しく
あらゆる美しさを兼ね備えた王女でした

ボヘミアの偉大なトルバドール
色付く秋の寂しい夕暮れに
しきたり通りのささやきで「愛しています」と
ふたりの心は舞い上がり、心臓はときめきました

汚れなき美しさの王女が
優しい詩人を大変愛したので
やがて、彼女の汚れなき魂は
星の世界へと昇天していきました

ボヘミアの大きな鐘も
トゥーレの小さな鐘も
至高の讃美歌を奏でました
恋に死んだ王女のために  

ラヴェルの書いた一番最初の歌曲、なんと若干18歳の時の作品です。詩の題名は彼の傑作「亡き王女のためのパヴァーヌ」を連想させますが、曲の雰囲気もそんな感じの気品ある悲しみと、「ダフニスとクロエ」や「5つのギリシャ民謡」のようなアルカイックな透明感を漂わせた不思議な味わいの曲です。

録音は少なくて、ラヴェル歌曲全集の中のメスプレのソプラノと、カウンターテナーのドミニク・ヴィスが日本で録音したものの2つしか私は聴いたことがありません。
メスプレの衣擦れのような繊細な声はとてもこの曲の雰囲気にはまっていて素敵ですが、それにもましてヴィスの録音の思い入れたっぷりな歌が素晴らしいです。

作詩のマレは1955に亡くなっていますので、まだ著作権が生きている可能性が高いですが、Emily EzustのLied and Song Texts Pageで原詩が公開されていますのでとりあえずそれに基づいた訳詞を掲載させて頂きます。問題あれば削除いたしますのでご連絡ください。

( 2003.09.26 藤井宏行 )


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