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Vecher   Op.27-4  
  6 Romansov i pesen
夕暮れ  
     6つのロマンスと歌

詩: メイ (Lev Aleksandrovich Mei,1822-1862) ロシア
      Вечер

曲: チャイコフスキー (Pyotr Ilyich Tchaikovsky,1840-1893) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Vishnevyj sadik vozle khaty;
Zhuki nad vishnjami gudjat;
Plug s nivy pakhari tashchat;
I,raspevajuchi,devchaty
Domoj na vecherju speshat.

Sem’ja ikh zhdet,i vsego-tovo;
Zvezda vechernjaja vstaet,
I dochka uzhin podaet.
A mat’ skazala by ej slovo,
Da solovejko ne daet.

Mat’ ulozhila vozle khaty
Maljutok-detochek svoikh;
Sama zasnula vozle nikh...
Zatikhlo vse... odin devchaty,
Da solovejko ne zatikh.

家の近くのサクランボ畑
甲虫たちがブンブンとサクランボの木のまわりを飛び回り
農夫たちも畑から鋤を引き上げ
娘たちは歌いながら
家路へと夕暮れの中を急ぐ

家族は彼らの帰りを待っている したくは皆できている
夕暮れの星が昇っている
娘が夕食を配って
母親が娘に何か言おうとするが
ナイチンゲールは歌うのをやめない

母親は家の近くで寝かしつける
自分の小さな子供たちを
自分自身も寝入ってしまう 子供たちのそばで
すべては静かになった...娘たちと
ナイチンゲールだけは静かにしようとしないけれど


素朴さあふれる田舎の夏の夕暮れでしょうか。なんとも微笑ましい情景描写が続きますし、チャイコフスキーの音楽も民謡のようなメロディーを基調にして、とても耳に心地よく響かせています。もっとも洗練した響きにしているのはさすがチャイコフスキー。とても不思議な音楽になりました。もともとはウクライナの大詩人、タラス・シェフチェンコの詩をレフ・メイがロシア語に訳したものなのだそうです。シェフチェンコはこの詩を、政治犯としてサンクトペテルスブルクの刑務所に収容されているときに書いたのだそうで、それを知って聴くと一層味わいが増すような気がします。

( 2011.07.11 藤井宏行 )


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