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Aoua!   M.78  
  Chansons madecasses
おーい  
     マダガスカル島民の歌

詩: パルニー (Évariste Desiré de Forges,vicomte de Parny,1753-1814) フランス
      

曲: ラヴェル (Maurice Ravel,1875-1937) フランス   歌詞言語: フランス語


Aoua! Aoua!
Méfiez-vous des Blancs,habitants du rivage.
Du temps de nos pères,
des Blancs descendirent dans cette île.
On leur dit: Voilà des terres,
que vos femmes les cultivent;
soyez justes,soyez bons,
et devenez nos frères.

Les Blancs promirent,et cependant
ils faisaient des retranchements.
Un fort menaçant s'éleva;
le tonnerre fut renfermé
dans des bouches d'airain;
leurs prêtres voulurent nous donner
un Dieu que nous ne connaissons pas,
ils parlèrent enfin
d'obéissance et d'esclavage.

Plutôt la mort.
Le carnage fut long et terrible;
mais malgré la foudre qu'ils vormissaient,
et qui écrasait des armées entières,
ils furent tous exterminés.
Aoua! Aoua!
Méfiez-vous des Blancs!

Nous avons vu de nouveaux tyrans,
plus forts et plus nombreaux,
planter leur pavillon sur le rivage:
le ciel a combattu pour nous;
il a fiat tomber sur eux les pluies,
les tempêtes et les vents empoisonnes.
Ils ne sont plus,et nous vivons,
et nous vivons libres.

Aoua! Aoua!
Méfiez-vous des Blancs,habitants du rivage.

アウアー(おーい)!、アウアー(おーい)!
海岸に住む白人達に気をつけろ
俺たちの親父の代から
やつらはここに住み始めた
親父達はやつらにこう言った「土地がここにはたくさんある
女達に耕やさせる土地だ。
公平に、親切に、
そして仲間になろう」

白人達は約束した。それなのに
やつらは塹壕を掘り、
俺たちをおびやかす砦を築いた。
そして弾が込められたのだ
青銅の大砲の中に
やつらの神父たちは押し付けようとした
俺たちの知らない神様とやらを
そしてついにやつらは迫ってきた
服従して奴隷となれと

ならば死を選ぶ方がましだ
戦いは長く、恐ろしかった
だが やつらの嵐のような砲撃
皆殺しにしようとした砲撃にもかかわらず
やつらは最後には壊滅した
アウアー(おーい)、アウアー(おーい)
海岸に住む白人達に気をつけろ

新しい侵略者たちがまたやってきた。
より強く、よりたくさんの数の白人達が
海岸に新しいテントを張った
天がわれらに味方し、
嵐を起こし、雨を降らせ
毒を持った風を吹き付けた
やつらはいなくなり、われらは残った
また自由な暮らしが始まる

アウアー(おーい)、アウアー(おーい)
海岸に住む白人達に気をつけろ


ラヴェルの歌曲も本当に多彩で、動物の描写が天才的な「博物誌」・とろけるような異国情緒が怪しい「シェーラザード」、更にもっと怪しい「2つのヘブライの歌」などなど、美しい旋律の楽しみはあまりありませんが、どれを聴いても「うーん。巧い」と唸ってしまうようなテクニックとアイディアに溢れた作品ばかりです。中でもやはり最高傑作は、このマダガスカル島民の歌ではないでしょうか。
伴奏のフルート・チェロ・ピアノという編成がトロピカル情緒満載の旋律を奏でる中、どうしようもなく恋しちゃってメロメロに恋人をのろけてる「ナアンドーブ」(チェロとの掛け合いが絶妙!)、一転して激しい怒りと恐れを絶叫する「おーい」、そして私達文明の毒に冒されたものが失ってしまった、夕暮れに恋人とゆったりと自然の中でくつろぐ「休息」(最後におやっという肩透かしがあります)の対照的な3曲が見事な対を作っています。

このうち私が一番印象に残っているのはご紹介したこの2曲目、初演の頃もこの歌詞の反植民地主義的内容に大論争が起きたのだそうです。そう言えばマダガスカルはフランスの植民地でしたよね。伴奏楽器ががちゃがちゃ言い争う中、アウアーと叫ぶ冒頭からインパクト満点ですが、白人との戦いを語る部分から更に熱を帯びてきて、2回目のアウアーの爆発は筆舌に尽くせないパワーです。最後の節はそれほど熱っぽくはありませんが(アウアーもちょっと控えめ)、それでも印象的なことに変わりはありません。
この曲には、初演者のマドレーヌ・グレイのメゾソプラノに、作曲者自身が伴奏指揮をした録音があって、歌だけ取れば絶品なのですが、残念ながら伴奏の部分の録音はSP復刻のせいか生々しさを完全に復元しきれていません。その後、スゼーの歌でのもっと新しい録音で聴いて、うわー凄い伴奏だということを再認識しました。彼の美声と迫力とが絶妙なこのフィリップス盤を私は今非常に気に入っています。あと未聴ですが、ジェシー・ノーマンの歌にブーレーズが伴奏を入れたSony録音はなんか物凄そうで興味を惹かれています。

( 1999.06.13 藤井宏行 )


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