TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


値(あ)ひがたき智恵子    
  智恵子抄
 
    

詩: 高村光太郎 (Takamura Koutarou,1883-1956) 日本
    智恵子抄 29 値(あ)ひがたき智恵子

曲: 清水脩 (Shimizu Osamu,1911-1986) 日本   歌詞言語: 日本語


智恵子は見えないものを見、
聞えないものを聞く。

智恵子は行けないところへ行き、
出來ないことを爲(す)る。

智恵子は現身(うつしみ)のわたしを見ず、
わたしのうしろのわたしに焦がれる。

智恵子はくるしみの重さを今はすてて、
限りない荒漠の美意識圏にさまよひ出た。

わたしをよぶ聲をしきりにきくが、
智恵子はもう人間界の切符を持たない。



前の詩に引き続いて昭和12年7月(29番目の詩)、前の鮮烈な情景に対し、こちらはひたすら内省的です。それを受けて音楽も重く、地味なものとなりました。光太郎の心の絶叫がびんびんと響いてきます。

( 2011.06.25 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ