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Liebeslied   Op.51-5  
  Lieder und Gesänge II
愛の歌  
     歌曲と歌 第2集

詩: ヴィレマー (Marianne von Willemer,1784-1860) ドイツ
    West-östlicher Diwan - 13. Noten und Abhandlungen zu besserem Verständnis des west-östlichen Divans  Dir zu eröffnen

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Dir zu eröffnen
mein Herz verlangt mich;
Hört' ich von deinem,
darnach verlangt mich;
Wie blickt so traurig
die Welt mich an!

In meinem Sinne
wohnet mein Freund nur,
Und sonsten keiner
und keine Feindesspur.
Wie Sonnenaufgang
ward mir ein Vorsatz!

Mein Leben will ich
nur zum Geschäfte
Von seiner Liebe
von heut an machen.
Ich denke seiner,
mir blutet das Herz.

Kraft hab' ich keine
als ihn zu lieben,
So recht im Stillen.
Was soll das werden!
Will ihn umarmen
und kann es nicht.

あなたに告白したいと
私の心は訴えています
あなたの想いを聞きたいと
そんな風に訴えています
どうしてそんなに悲しそうに見るのでしょう
世界はこの私を

この心の中には
友だちだけが住んでいます
他にはいません
嫌いな敵もいないのです
太陽が昇るように
いいアイディアが浮かんできました

私の人生を
ただ捧げることにしましょう
彼への愛に
今日からは
彼のことを思うと
私の心からは血がにじむようです

力など私にはありません
彼を愛することの他には
ただひたすら静かに
どうすれば良いのでしょう!
彼を抱きたいのだけれど
それはできないこと


これだけ他の4曲とは離れて1849の作品、ゲーテ晩年の大作「西東詩集」より取られています。これの巻末にゲーテ自身が書いた注記・論考(この詩集が模したペルシャの歴史や文学の形についてゲーテ自身が解説したもの)の中の「暗号」という章に引用されているものです。この詩を引くにあたっての解説は次のようです(岩波文庫の「西東詩集」による 訳:春田伊久蔵)

閑話休題、ここにわれわれが指摘したいのは、暗号で通信するという、よく知られていながらしかも依然として秘密にとざされた方法であって、それは、二人の人間が申し合わせてある一つの書物を決め、その書物の頁数行数を手紙として書きつづっておくり、そしてその場合、どちらも相手はわずかな骨折りで内容を解読してくれる、と確信しているのである。
「暗号」と題した歌謡は、そうしたとりきめを諷したものである。愛しあう二人が、ハーフィズの詩を交情の具としようと申合わせて、彼ら自身の当面の情況がうたわれている頁や行の数を挙げる。すると、やがてきわめて美しく表現された合成歌謡ができあがる。評価を絶したこの詩人のあちこちに散在するすばらしい詩句が、恋の情熱と感受性によって結びあわされ、その全体に、趣味と選択によって内的生命が賦与される。そして、遠くはなれている者同志が、彼らの悲哀を真珠のようなハーフィズの言葉で飾って、心慰む諦めを見出す。(引用終わり)

とあって、その後に綴られているのがこの詩なのです。ご存じのようにこの西東詩集、当時ゲーテとひそかにプラトニックな愛の関係にあったマリアンネ・フォン・ウィレマーの書いた詩が織り込まれていることが現在では分かっておりますが、実はこの詩も彼女の作であるようなのです。この解説のあとに載せるとは、ゲーテも実に洒落た趣向を考えたものだな、と思えます。
ハーフィズの詩のスタイルというのは、私もいくつかの翻訳でしか目にしておりませんので良く分からないところもあるのですが、こんな感じの熱烈な愛の詩の印象が確かにあります。

その熱い詩をうけて、シューマンのメロディも熱のこもった美しいもの。それほどポピュラーではありませんが、好んで取り上げる歌手の方も決して少なくはありません。

( 2011.06.24 藤井宏行 )


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