Sehnsucht Op.51-1 Lieder und Gesänge II |
あこがれ 歌曲と歌 第2集 |
Ich blick in mein Herz und ich blick in die Welt, Bis von schwimmenden Auge die Träne mir fällt, Wohl leuchtet die Ferne mit goldenem Licht, Doch hällt mich der Nord,ich erreiche sie nicht. O die Schranken so eng und die Welt so weit, Und so flüchtig die Zeit,so flüchtig die Zeit. Ich weiß ein Land,wo aus sonnigem Grün Um versunkene Tempel die Trauben glühn, Wo die purpurne Woge das Ufer beschäumt Und von kommenden Sängern der Lorbeer träumt. Fern lockt es und winkt dem verlangenden Sinn, Und ich kann nicht hin,ich kann nicht hin. O hätt' ich Flügel durch Blau der Luft, Wie wollt ich baden im Sonnenduft! Doch umsonst! Und Stunde auf Stunde entflieht, Vertraure die Jugend,begrabe das Lied. O die Schranken so eng und die Welt so weit, Und so flüchtig die Zeit,so flüchtig die Zeit. |
私は自分の心を見つめ、私は世界を見つめていた このあふれやすい眼に涙が満ちるまで 確かに彼方は 黄金の光で輝いているが 私は北の地に留められ、そこへ行きつくことはない おお この囲いはあまりに狭く、そして世界はあまりに広い そして時間はあまりに速く過ぎ行くのだ! 私はある国を知っている、そこでは輝く緑の中 打ち捨てられた寺院の周りにブドウが実っている 紫の波が岸辺を荒い これから現れる歌びとたちを月桂樹が夢見ている そこは憧れの思いを呼び覚まし、遠くへといざなう だが私はそこへは行けぬのだ おお私に翼があれば、青い空を飛ぶ翼が 私はこの夏の香りの中に身を浸すのだが 空しいことだ、時は過ぎてゆく 青春は悼むがいい、歌は葬り去れ おお この囲いはあまりに狭く、そして世界はあまりに広い そして時はあまりに速く過ぎ行くのだ! |
作品27に引き続いて「歌曲と歌」という曲集名で第2集となっておりますが、作曲時期もスタイルもばらばらの曲が集められています。第1曲目は歌の年1840年の作品、ガイベルの詩による哲学的な歌曲です。作られた時期は同じ詩人の詩による作品30と同じ頃で、なんとはなしに曲想にも通じるものがありますので、もしかすると一緒の歌曲集にすることを狙って書かれたのではないかとも思えますが、あちらの俗っぽさに比べるとやはり地味さは否めず、歌曲集に含まれなかったのも分かります。ほの暗くも熱情を秘めた前奏に対し、歌のメロディは焦燥感が募りながらも決して暗くならないその対照が面白く、決して平凡な作品ではないのですが。
( 2011.06.24 藤井宏行 )