Sängers Trost Op.127-1 Fünf Lieder und Gesänge |
歌人の慰め 5つのリートと歌 |
Weint auch einst kein Liebchen Tränen auf mein Grab, Träufeln doch die Blumen Milden Tau hinab; Weilt an ihm kein Wandrer Im Vorüberlauf, Blickt auf seiner Reise Doch der Mond nach ihm. Denkt auf diesen Fluren Bald kein Erdner mein, Denkt doch mein die Aue Und der stille Hain. Blumen,Hain und Aue, Stern und Mondenlicht, Die ich sang,vergessen Ihres Sängers nicht. |
たとえ泣いてくれなくとも ひとりの恋人とて 涙をわが墓の上へと 滴らせてくれるのだ 花たちが やわらかな露をこの上に たとえ墓のそばに立ち止まってくれなくとも ひとりの旅人とて その道すがらに 見おろしてくれる その旅路の途中に 月が 墓の上から たとえこの野原の上で私を覚えてくれている人が この世に誰もいなくなっても 私のことをなお覚えていてくれる この野原と そしてこの静かな林が 花たちよ 林よ 野原よ 星よ 月の光よ 私はお前たちを歌う 忘れないでくれ お前たちの歌い手のことを |
作品35の12曲からなるケルナ―の詩による歌曲集、もともとはその中に入れられる予定で書かれたものでしょうか。息の長い力のこもったメロディは、この曲があの傑作歌曲集に含まれていても決しておかしくないと思えるほどの充実感です。
作品127の5曲はいずれも歌の年1840年に書かれた歌ばかりですが、2・3曲の「詩人の恋」からはずされた歌曲を含め、何らかの事情でその頃に出版されず、シューマンの晩年にまとめて出版されたものです。
同じような歌曲集にもうひとつ作品142があり、こちらの冒頭にもケルナ―の詩による歌曲が収められています。
( 2011.06.09 藤井宏行 )