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Vesennie vody   Op.14-11  
  Dvenadtsat’ romansov
春のせせらぎ  
     12のロマンス

詩: チュッチェフ (Fyodor Ivanovich Tyutchev,1803-1873) ロシア
      Весенние воды

曲: ラフマニノフ (Sergei Rachmaninov,1873-1943) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Eshche v poljakh beleet sneg,
A vody uzh vesnoj shumjat,
Begut i budjat sonnyj breg,
Begut i bleshchut,i glasjat.

Oni glasjat vo vse kontsy:
“Vesna idet,
Vesna idet!
My molodoj vesny gontsy,
Ona nas vyslala vpered.
Vesna idet,
Vesna idet!”
I tikhikh,teplykh majskikh dnej
Rumjanyj,svetlyj khorovod
Tolpitsja veselo za nej.

野原はまだ雪に覆われているが
春の水はもうざわめいている
眠たそうな岸辺を流れて
流れ、きらめき、そして歌う

彼らはあちこちでこんな風に歌っているのだ
「春が来たよ
 春が来たよ!
 ぼくたちは若い春のメッセンジャーなんだ
 春がぼくらを先に寄こしたんだ
 春が来たよ
 春が来たよ!」
そして静かで暖かい5月の日に
赤く輝く踊りの中に
春につき従ってみな陽気に群がるのだ


長く厳しい冬であるだけに、ロシアの春は喜びで爆発するのでしょうか?
詩も幸せ一杯ですがラフマニノフのメロディも鮮烈で、シューマンがよく描く春の喜びの歌をもっと濃厚にしたとても印象的な曲です。
せき込むようなピアノの伴奏は激しく、雪解け水が洪水のように溢れかえるエネルギーを感じさせます。これはもはやせせらぎではない...
(vodyというのは「水」の意味ですので、せせらぎというのは厳密な訳ではないようです。「春の洪水」と訳しているのも見かけましたが、これはある意味曲想にぴったり来ている超訳と言えなくもありません)
とくれば、以前ご紹介したゲッダ&ワイセンベルクのコンビの演奏に勝る爆裂演奏以上にこの喜びを的確に表した演奏はないかも知れません。ほとんど打楽器と化したピアノの音に、歌うというよりは吠えるテノール。
これはクラシック歌曲という範疇を超えています。
もし見つければ即買いでしょう。
なお同じゲッダの歌唱で最近復刻されたEMIの2枚組では伴奏がG.ムーアとなっています。ちゃんと聴き比べた訳ではないですが、これもかなり強烈な歌唱。この2枚組、1枚はオペラアリアでモーツアルトからチャイコフスキー、そしてヴェルディまで、もう1枚は歌曲集でイタリア・スペイン・ドイツ、そしてロシアと、彼のとんでもなく広いレパートリーを堪能できるとても素敵なアルバムです。

( 2002.03.21 藤井宏行 )


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