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アイアイ    
 
 
    

詩: 相田裕美 (Aida Hiromi,-) 日本
      

曲: 宇野誠一郎 (Uno Seiichirou,1927-2011) 日本   歌詞言語: 日本語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください


ついこの間、詩人の岸田衿子さんの追悼で、子供の頃のテレビ世界名作劇場の「赤毛のアン」を取り上げたばかりのところ、またこの世界名作劇場(というよりもその前身の「カルピスまんが劇場」)ゆかりの作曲家、宇野誠一郎氏の訃報が届きました。恐らく今の40代の方であれば「ムーミン」のテーマはどなたもご存じでしょうし、「アンデルセン物語」や「山ねずみロッキーチャック」のメロディも多くの方が口ずさめるのではないかと思います。ユーモアを湛えた元気のよい音楽は子供のテレビアニメに忘れ難い彩りを添えてくれていました。
個人的にはもっとウキウキする「悟空の大冒険」の主題歌が私は大好きなのですが、他にも数年前にモーニング娘がカバーして復活をとげた「ひょっこりひょうたん島」のテーマや「ふしぎなメルモ」「一休さん」など、子供に忘れ難い音楽をたくさん残してくれました。
もともとは池内友次郎・安部幸明といったクラシック畑の人に師事したのだそうですが、こんな感じでテレビや舞台、映画の音楽を中心に活躍されておりました。
今回取り上げたのは昭和37年に書かれた童謡、彼はあまりこのジャンルは書かなかったようですが、NHKの「おかあさんといっしょ」で放映されて以来、現在に至るまで歌い継がれ、童謡の定番のひとつとなった感があります。我が家の子供たちも良く知っておりますが、よもや親が生まれるよりも前のとても古い童謡とは夢にも思っていないようです。NHKのおかあさんといっしょ40周年記念のCDには当時のオリジナルとおぼしき音源が記録されておりますが、作曲者自身の編曲は陽気にトロピカルで、今聴いてもとても斬新なインパクトがありました。マダガスカル島に実際に生息する原猿を題材としていますが、当時は日本の動物園にもおらず、作詞家も作曲家もイメージを膨らませて創作したのだといいます。その意味で子供のときもこの歌はなんだかよく分からないけど、とても楽しい歌だったので自然に覚えてしまいました。
前述のCD、おかあさんといっしょが40周年を迎えた1999年に、それまでの40年間から300曲を選んで編んだものでしたが、これだけ集めると古いものの中には今では耳にすることもめったになくなってしまったものもたくさんあります。そうは言いつつもこの当時は気鋭の人たちが力を入れて書いたものが多いからでしょう、今に歌い継がれているものとして「ぞうさん」(團伊玖麿)や「さっちゃん」「犬のおまわりさん」(大中恩)「あめふりくまのこ」(湯山昭)、「おもちゃのチャチャチャ」(越部信義)「かわいいかくれんぼ」(中田喜直)など結構錚々たる作品が並びます。そんな中の一曲に数えられ、今までの50年に続いて今後も長く歌い継がれる童謡のひとつであり続けることでしょう。
テレビアニメの音楽は、もしかしたら時代を共有した人たちがいなくなった時は忘れ去られるのかも知れませんが、こうしてみると繰り返し繰り返し世代を越えて歌い継がれる童謡は長く残るのでしょう。これから50年・100年たってもこの歌は歌い継がれているのでしょうか。
そんな作品を一曲でも持つことができれば、作った人は本当に幸せなことでしょう。それを願いつつ、氏のご冥福をお祈りしたいと思います。

( 2011.05.14 藤井宏行 )


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