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	搗布とたんぽぽ		 				  日本の笛  | 									
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搗布(かじめ)干そとて たんぽぽ踏めば、よう 春も末かよ のよ 様よ 搗布干場の たんぽぽなれば よう 果ては吹かれて 汐のすゑ  | 																
    																
																
																
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春の終わりのなんとも物憂い、ちょっと寂しげな歌です。
詩の前には白秋の歌集「桐の花」よりこのような和歌が添えられています。
  いつしかに春のなごりとなりにけり
  昆布干場のたんぽぽの花
舞台は神奈川県の横須賀・三崎あたり。搗布(かじめ)というのは昆布のような海草で、これを干しているところでタンポポ(恐らく綿毛となったものでしょう)を踏んづけてしまったところ、綿毛は海の果てへと飛んでいってしまったといったところでしょうか。何か実らない恋の暗喩のような感じもします。	
( 2011.05.14 藤井宏行 )