TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Stillung Mariä mit dem Auferstandenen   Op.27-12  
  Marienleben
復活者によるマリアの慰め  
     マリアの生涯

詩: リルケ (Rainer Maria Rilke,1875-1926) オーストリア
    Das Marien-Leben 12 Stillung Mariä mit dem Auferstandenen

曲: ヒンデミット (Paul Hindemith,1895-1963) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Was sie damals empfanden: ist es nicht
vor allen Geheimnissen süß
und immer noch irdisch:
da er,ein wenig blaß noch vom Grab,
erleichtert zu ihr trat:
an allen Stellen erstanden.
O zu ihr zuerst. Wie waren sie da
unaussprechlich in Heilung.
Ja sie heilten,das war's. Sie hatten nicht nötig,
sich stark zu berühren.
Er legte ihr eine Sekunde
kaum seine nächstens
ewige Hand an die frauliche Schulter.

Und sie begannen
still wie die Bäume im Frühling,
unendlich zugleich,
diese Jahreszeit
ihres äußersten Umgangs.

そのとき二人が感じたもの、それは
あらゆる秘密よりも甘美で
なおこの世のものではなかったろうか
そこで彼は、まだ墓からのわずかな蒼白さを帯びながら
軽やかに彼女のもとに歩み寄ったのだ
体はすべて蘇っていた
おお彼女のもとに真っ先に どれほど二人はそこで
言葉に表せないほどに癒されたことか
そう 二人は癒された 本当に 二人にはする必要はなかった
互いにしっかりと触れ合うことなど
彼はほんの一瞬だけ彼女に触れた
彼のやがて
永遠のものとなる手で女の肩を

そして二人は始めたのだ
春の木々のように静かに
終わりなく一斉に
一年のこの時の
彼らの究極の交わりを


4月の復活祭は、死んだ季節が甦り、また生命があふれる時期がめぐってきた喜びの時です。イエス・キリストもまたここで甦ったわけですが、リルケの描きだしたその情景はじんわりとくる温かみに加えて、なんとも艶めかしいです。親子の情愛よりもそのまま読むと性愛の方が強く感じられて不思議なのですが、ヒンデミットの音楽はそっと静かに、まるで教会堂の中の讃美歌のように歌われていきます。途中の転調するところのピアノの響きは、それまでの中世風の古い響きが一瞬近代にワープしたようでとても鮮烈。

( 2011.04.24 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ