Die Vätergruft S.281 |
父祖の墓 |
Es schritt wohl über die Heide Zur alten Kapell' empor Ein Greis in Waffengeschmeide Und trat in den dunkeln Chor. Die Särge seiner Ahnen Standen der Hall' entlang, Aus der Tiefe tät ihn mahnen Ein wunderbarer Gesang. »Wohl hab ich euer Grüßen, Ihr Heldengeister,gehört, Eure Reihe soll ich schließen. Heil mir! Ich bin es wert!« Es stand an kühler Stätte Ein Sarg noch ungefüllt; Den nahm er zum Ruhebette, Zum Pfühle nahm er den Schild. Die Hände tät er falten Auf's Schwert und schlummerte ein; Die Geisterlaute verhallten, Da mocht es gar stille sein. |
荒れ野を歩いて 古い教会へとやってきたのは 武具をつけたひとりの老人 そして暗い御堂の中へと踏み込んだ 彼の祖先の柩が 広間に沿って並んでいた 深きところより彼に何かをうながすのは 不思議な歌声 「よろしい、私は御身たちの挨拶を 英雄たちの御霊よ、しかと聴いた 御身たちの列を私で終えるとしよう 私を救いたまえ!私はそれに値するはずだ!」 涼しいその場所に置かれていたのは ひとつの中身が空の柩 そこを彼は安らぎの床とし 枕に彼の盾を置いた その手を彼は組んだ 剣の上に そして眠りについた 霊たちのこだまも消え去って そこには静けさだけが残った |
簡素なピアノの伴奏に乗って、沈鬱な淡々とした語りで情景が語られていきます。が、第3連のここへやってきた老騎士の語りの部分は朗々と美しいメロディに変わり、この曲のクライマックスを作ります。再び冒頭の沈鬱な表情が戻ってきて、消え入るように曲を閉じます。
( 2011.02.09 藤井宏行 )