Lied der Braut I Op.25-11 Myrten |
花嫁の歌 I ミルテの花 |
Mutter,Mutter glaube nicht, weil ich ihn lieb' all so sehr, daß nun Liebe mir gebricht, dich zu lieben,wie vorher. Mutter,Mutter! seit ich ihn liebe lieb' ich erst dich sehr. Laß mich an mein Herz dich zieh'n, und dich küssen,wie mich er! Mutter,Mutter! seit ich ihn liebe, lieb' ich erst dich ganz, daß du mir das Sein verlieh'n, das mir ward zu solchem Glanz. |
母さん、母さん、そんな風に思わないで あたしが彼をとても愛してるからといって あたしの愛情がなくなって 昔のように母さんを愛さなくなってしまったなんて 母さん、母さん、あたしが彼を 愛してから、あたし母さんをもっと、もっと愛するようになったわ 母さんをあたしの胸に抱いて キスさせてよ 彼があたしにするみたいに 母さん、母さん、あたしが彼を 愛してから、あたし母さんを本当に愛するようになったわ だってあたしを生んでくれて あたしをこんなにも輝かせてくれたんだから |
花嫁となるクララに結婚前夜にプレゼントしたという歌曲集「ミルテ」。いくつか結婚にちなむ曲が散りばめられていますが、やはり要となるのは歌曲集のほぼ中間に置かれた2曲の「花嫁の歌」でしょう。この歌曲集の最初と最後を飾る詩を書いた同じリュッケルトの手になる詩。花嫁の言葉が今まで育ててくれた母への感謝といたわりに満ちています。同じ年の「女の愛と生涯」に通じるような穏やかで情感あふれるメロディもたいへん魅力的です。
( 2011.02.05 藤井宏行 )