Danseuse Op.113 Mirages |
踊り子 幻影 |
Sœur des Sœurs tisseuses de violettes, Une ardente veille blémit tes joues … Danse! Et que les rythmes aigus dénouent Tes bandelettes. Vase svelte,fresque mouvante et souple, Danse,danse,paumes vers nous tendues, Pieds étroits fuyant,tels des ailes nues Qu’Éros découple … Sois la fleur multiple un peu balancée, Sois l’écharpe offerte au désir qui change, Sois la lampe chaste,la flamme étrange, Sois la pensée! Danse,danse au chant de ma flûte creuse, Sœur des Sœurs divines. - La moiteur glisse. Baiser vain,le long de ta hanche lisse … Vaine danseuse! |
スミレを織りなす姉妹たちの中の妹よ 火照った夜はあなたの頬を蒼ざめさせる 踊れ!鋭いリズムで解けるほどに あなたの編みひもが 細身の花瓶、揺れ動くしなやかなフレスコよ 踊れ、踊れ、手のひらを私たちの方へと差し出して 細い足を浮き上がらせて、裸の羽根のように エロスから解き放たれた羽根の かすかに揺らいでいる八重の花びらのように うつろいゆく願いにかけられたスカーフのように 清らかな灯のように、不思議な炎のように 思いのように! 踊れ、私のうつろな笛の歌に合わせ踊れ 神の姉妹たちの中の妹よ、湿気が滑りゆく むなしいくちづけを あなたの腰に沿って むなしき踊り子よ! |
この詩もしなやかでありながらかなり熱いです。激しい踊りを踊る踊り子たちに向けられたメッセージ。エキゾチックでエロチックな踊りをイメージしてしまいますが、フォーレの音楽はここでも抑制が効いています。まるで幻想の中で踊る影のように繰り返すダンスのリズムの上に淡々と歌われる歌。艶めかしさが音楽にない分、「幻影」というタイトルらしく逆説的に鮮烈なイメージを喚起してくれるように思います。
( 2011.01.21 藤井宏行 )