Min pige er så lys som rav Op.41 FS94 Moderen |
恋人の髪は琥珀のように奇麗 劇音楽「母」 |
Min pige er så lys som rav og Danmarks gyldne hvede, og blikket er så blåt som hav, når himmel er dernede. Prinsesse Tove af Danmark! Min piges smil er sol i maj og sang fra lærkestruber, og smilehullet viser vej til sindets gyldne gruber - Prinsesse Tove af Danmark! Min pige kan vel være hård mod dem,hun ilde lider, da har hun ord,som hidsigt slår og lidt for hidsigt bider. Prinsesse Tove af Danmark! Det smilehul går bag en sky, og farligt øjet gråner; men smilet bryder frem på ny, og blikkets bølger blåner. Prinsesse Tove af Danmark! Thi ser jeg i de øjne ind, de bliver vege,varme. Da hviler jeg i hendes sind som i to bløde arme. Prinsesse Tove af Danmark! |
私の恋人は琥珀のように奇麗 デンマークの金色に実った小麦のよう その瞳は海のように青い 空が澄み渡った時のよう デンマークのトーヴェ姫 私の恋人の微笑みは5月の太陽のよう ひばりの歌う歌のよう 可愛いえくぼはまるで 金鉱に続く道のよう デンマークのトーヴェ姫 私の恋人は毅然としている 彼女を馬鹿にする人たちに対しても 彼女が言葉を発するときは 熱く、そして痛烈だ デンマークのトーヴェ姫 その微笑みが雲に隠れるとき そして瞳が険しくなるときも 輝きだけは失われず まなざしはあたりを払う デンマークのトーヴェ姫 それでも彼女のまなざしに見入れば 暖かく優しいことがわかる 私が心安らぐ時には あのふたつの柔らかい腕に抱かれて デンマークのトーヴェ姫 |
交響曲や劇音楽「アラディン」などでは荒々しくも喧しい(誉め言葉です)音楽を書いたニールセンですけれども、私の知る限り、歌曲においては素朴この上ない民謡のような親しみやすいメロディーを書いています。
ご紹介するこの曲は、実は単独の歌曲ではなく、劇音楽「Moderen(The Mother)」の中の劇中歌です。
この劇中には他にも美しい音楽が目白押しで、有名なフルートの曲「Fog is lifting」もこの中の1曲ですし、他にもデンマーク第2の国歌のようになっている「将に船出せんとす艦隊のように」も美しい合唱で歌われます。もともとこの劇、第一次大戦後に失われていた土地がドイツから返還されたのを祝って作られた劇なのだそうで、歌詞の愛国的なところもそんな祝典的な気分から生まれてきたものなのですね。
ニールセンの歌曲というと、私の知る限りではほとんどデンマークのレーベルでしか出ていなくて、歌詞の対訳がないのでつらいところです。デンマーク語というのがドイツ語と英語を齧っているとなんとなく分かるので、誤訳と意訳の嵐だとは思いますがなんとか訳してみました。
各節がPrincesse Tove af Danmarkで終わる5節の有節歌曲です。非常に清楚で美しい音楽です。
トーヴェ姫といえば、恐らくシェーンベルクのグレの歌の題材にもなったデンマークの悲劇の女性のことでしょう。このロージェの戯曲ではどのように現れてくるのかは分かりませんでした。
録音は、Danacordから出ている北欧のロマンチック歌曲集(Severinのテナー)も良いのですが、同じDanacordから出ているニールセンの歴史的録音集の協奏曲・劇音楽編に収録されている、Schioetz(かの国の偉大なテナー歌手らしい)の名唱がやはり素晴らしいです。この3枚組のCD、この劇音楽「母」から他にも何曲か収録されていて、これらも素敵です。
この曲、ちゃんとした劇音楽の形での新録音というのはないものなのでしょうか?ニールセンの作品の中でもかなり重要な位置を占めると思うのですが...
(藤井宏行)2000.8/25 2004.5.31改訂
( 2004.05.31 藤井宏行 )