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Die Kartenlegerin   Op.31-2  
  Drei Gesänge
カード占いをする娘  
     3つの歌

詩: シャミッソー (Adelbert von Chamisso,1781-1838) ドイツ
      Les cartes,ou L'horoscope 原詩: Pierre-Jean de Béranger ベランジェ

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Schlief die Mutter endlich ein
Über ihrer Hauspostille?
Nadel,liege du nun stille,
Nähen,immer nähen,nein!
Ei,was hab ich zu erwarten,
Ei,was wird das Ende sein?

Trüget mich die Ahnung nicht,
Zeigt sich einer,den ich meine,
Schön,da kommt er ja,der eine,
Coeur-Bub kannte seine Pflicht.
Eine reiche Witwe? Wehe.
Ja,er freit sie,ich vergehe,
O verruchter Bösewicht.

Herzeleid und viel Verdruss,
Eine Schul’ und enge Mauern,
Karo-König,der bedauern
Und zuletzt mich trösten muss.
Ein Geschenk auf artge Weise,
Er entführt mich,eine Reise,
Geld und Lust im Überfluss.

Dieser Karo-König da
Muss ein Fürst sein oder König
Und es fehlt daran nur wenig,
Bin ich selber Fürstin ja.
Hier ein Feind,der mir zu schaden
Sich bemüht bei seiner Gnaden,
Und ein Blonder steht mir nah.

Ein Geheimnis kommt zu Tage,
Und ich flüchte noch bei Zeiten,
Fahret wohl,ihr Herrlichkeiten,
O,das war ein harter Schlag.
Hin ist einer,eine Menge
Bilden um mich ein Gedränge,
Dass ich sie kaum zählen mag.

Kommt das dumme Fraungesicht,
Kommt die Alte da mit Keuchen,
Lieb und Lust mir zu verscheuchen,
Eh’ die Jugend mir gebricht?
Ach,die Mutter ist’s,die aufwacht,
Und den Mund zu schelten aufmacht.
Nein,die Karten lügen nicht.

ようやく母さんは眠ったのかしら
お祈りの本に突っ伏して?
針ちゃん、お前はもう静かにお休み
縫い物、いつでも縫い物ばっか、もういや!
さあ、これから何が出てくるのでしょう
さあ、どんな結末になるんでしょう?

予感に間違いがなければ
出てくるはずよ、あたしの思ってるカードが
ほーら、出てきたわ、この一枚が
ハートのジャックはやるべきことが分かってるのね
え、金持ちの未亡人?なんてことよ
彼は彼女に求愛し、あたしはお払い箱
おお ひどい男だわ

心の痛むこととかひどいことばっかよ
学校とか 狭い家とか
ダイヤのキングが、可哀そうに思って
慰めにやってくるはずよ
うやうやしくプレゼントを持ってさ
彼はあたしを連れ出してくれるの-旅行とかに
お金もレジャーもいっぱいよ

このダイヤのキングって
きっと王子さまか王様なのよ
それでだいたい間違いないと思うけど
あたしが王妃さまになるのよね
でもここに敵がいて、あたしの邪魔をするの
彼の寵愛を得ようとして
そしてあたしの方はブロンドの男の子と深い仲

秘密がバレちゃったので
あたしすぐさま逃げ出すの
さよなら、みなさま紳士の方々
ああ とってもショック
ひとりが離れても、たくさんの人が
あたしのまわりに集まってくるから
あたしもう数えられなくなっちゃった

ブサい女の顔が出てきたじゃない
ゼエゼエいってるばあさんよ
恋も遊びもあたしから取り上げようってわけ
あたしが若くなくなるまでは?
ああ おかあさんだ 起きてきたんだ
もう口をあけてガミガミ言ってる
やーね、トランプって嘘はつかないわ


タイトルのDie Kartenlegerinから受ける感じは妖しげな老婆などがやるカード占い師というものですが、ここではなんともお茶目な少女が自分のことをぶつぶつ言いながら占っています。音楽もかわいらしく、少女がコロコロわらいながらカードをめくっているような感じがしてなかなかステキです。今は亡き名ソプラノ、シュヴァルツコップのそれはそれは絶妙の録音(EMI)がありました。
詩はもともとはフランスの風刺詩人ピエール・ベランジェの書いたものを、シャミッソーが自由にドイツ語訳したものなのだそうです。ベランジェお得意の社会風刺はありませんがそれなりに生気に満ちた面白い詩だと思います。
1節目が次以降の節と違って1行少ないですが、「針仕事なんかもういや!」とつぶやいたあとに原詩では「そうだ、カード占いをしましょう」という1行があるのをシューマンが省略しているためです。残してあったほうが分かりやすいように思えるのですが、これを省いた理由はよくわかりません。

( 2010.12.05 藤井宏行 )


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