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風が立ち、浪が騒ぎ    
  盲目の秋
 
    

詩: 中原中也 (Nakahara Chuuya,1907-1937) 日本
    山羊の歌(1934)  盲目の秋 1

曲: 石桁真礼生 (Ishiketa Mareo,1916-1996) 日本   歌詞言語: 日本語


風が立ち、浪が騒ぎ、 
  無限の前に腕を振る。

その間(かん)、小さな紅(くれなゐ)の花が見えはするが、
  それもやがては潰れてしまふ。

風が立ち、浪が騒ぎ、
  無限のまへに腕を振る。

もう永遠に帰らないことを思つて
  酷白(こくはく)な嘆息するのも幾たびであらう……

私の青春はもはや堅い血管となり、
  その中を曼珠沙華(ひがんばな)と夕陽とがゆきすぎる。

それはしづかで、きらびやかで、なみなみと湛(たた)へ、
  去りゆく女が最後にくれる笑(ゑま)ひのやうに、

厳(おごそ)かで、ゆたかで、それでゐて佗(わび)しく  
  異様で、温かで、きらめいて胸に残る……

      あゝ、胸に残る……

風が立ち、浪が騒ぎ、
  無限のまへに腕を振る。



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   盲目の秋 

( 2010.11.26 藤井宏行 )


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