Loreley Op.53-2 Romanzen und Balladen III |
ローレライ ロマンスとバラード第3集 |
Es flüstern und rauschen die Wogen Wohl über ihr stilles Haus. Es ruft eine Stimme: “Gedenke mein! Bei stiller Nacht im Vollmondschein! Gedenke mein!” Und flüsternd ziehen die Wogen Wohl über ihr stilles Haus. “Gedenke mein!” |
ささやき ざわめく波は 彼女の住み家の上 声が響く 「わたしを忘れないで 静かな夜 満月の光が輝く時には わたしを忘れないで」と そしてささやくように波はあふれだす 彼女の住み家の上から 「わたしを忘れないで」と |
詩人は作曲者の友人の奥さんということのようで、ローレライ伝説を歌ったものではありますが、ブレンターノの書いたもののように激しいドラマがあるわけでもなく、あるいはハイネのもののように美しい情景描写があるわけでもなく、「わたしを忘れないで」を繰り返しているかなり平板な詩です。歌も静かに2分足らずで終わってしまい、詩の弱さを残念ながらカバーしきれていないような感じですが、それでも子守歌のようなゆったりとした調べは美しいです。最後は「わたしを忘れないで」を3回繰り返して静かに消えて行きます。
これは1840年4月の作曲。
( 2010.11.23 藤井宏行 )