Wenn ich ein Vöglein wär Op.43-1 Drei Duette |
もしも私が小鳥だったら 3つの二重唱 |
Wenn ich ein Vöglein wär’ Und auch zwei Flüglein hätt’, Flög’ ich zu dir! Weil’s aber nicht kann sein, Bleib’ ich allhier. Bin ich gleich weit von dir, Bin ich doch im Schlaf bei dir, Und red’ mit dir! Wenn ich erwachen thu Bin ich allein. Es vergeht kein’ Stund’ in der Nacht, Da mein Herze nicht erwacht, Und an dich gedenkt, Dass du mir viel tausendmal Dein Herz geschenkt. |
もしも私が小鳥だったら そしてふたつの羽根があったなら あなたのところへ飛んで行くのに でもそれはできないことだから 私はここにひとりでいるのです 私はあなたから遠く離れているけれど 眠りの中ではあなたのそばにいて あなたとお話している だけと目覚めたときには 私はひとりぼっち 夜は一時として過ぎてはゆかない 私の心が目覚めすには そしてあなたを想いながら あなたが私に何千回も あなたの真心を贈ってくれたことを |
作品43の3つの2重唱は1840年、シューマン歌の年の秋に書かれた作品です。春先の怒涛のような作曲ラッシュの頃に比べるとだいぶん落ち着いてきたのでしょうか。なかなかにしっとりしたものに仕上がっています。ソプラノとメゾ、あるいはテノールとバリトンといった同性の声同士で歌われることもそんな感じを強めている理由かも知れません。
第1曲目は民謡詩「少年の不思議な角笛」より。この詩は大変良く知られたメロディがあり、日本では歌詞を「いつもいつも通る夜汽車」(詞:勝承夫)と変えられて、今はどうか知りませんが、私が子供のころには「夜汽車」の歌として割と普通に歌われていたように記憶しています。
シューマンがこの詩につけたメロディもこの良く知られたメロディにそっくりで、これの編曲と言っても良いくらいかも知れません。ただ元の民謡が長調なのに対し、このメロディは短調で書かれていてやるせなさが一層際立っています。
( 2010.11.12 藤井宏行 )