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Sonntags am Rhein   Op.36-1  
  Sechs Gedichte aus dem Liederbuch eines Malers
ラインのほとりの日曜日  
     ある画家の歌の本よりの6つの詩

詩: ライニック (Robert Reinick,1805-1852) ドイツ
    Lieder - Stimmungen und Gestalten  Sonntags am Rhein

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Des Sonntags in der Morgenstund,
Wie wandert's sich so schön
Am Rhein,wenn rings in weiter Rund
Die Morgenglocken gehn!

Ein Schifflein zieht auf blauer Flut,
Da singt's und jubelt's drein;
Du Schifflein,gelt,das fährt sich gut
In all die Lust hinein?

Vom Dorfe hallet Orgelton,
Es tönt ein frommes Lied,
Andächtig dort die Prozession
Aus der Kapelle zieht.

Und ernst in all die Herrlichkeit
Die Burg herniederschaut
Und spricht von alter,guter Zeit,
Die auf den Fels gebaut.

Das alles beut der prächtge Rhein
An seinem Rebenstrand,
Und spiegelt recht im hellsten Schein
Das ganze Vaterland,

Das fromme,treue Vaterland
In seiner vollen Pracht,
Mit Lust und Liedern allerhand
Vom lieben Gott bedacht.

日曜日の朝の時間に
そぞろ歩くのは何て楽しいことだろう
ラインのほとりを、遠くあたりじゅうに
朝の鐘の音が鳴り渡るときに!

一艘の小舟が青い水の上を滑ってゆく
舟からは歌声と歓声が聞こえる
おい舟よ、愉快だろう
楽しいことを一杯載せているからな?

村の方からはオルガンの音が響き
敬虔な歌が聞こえてくる
信仰に篤い人々の列が
チャペルよりあふれ出ている

そして厳かに これら栄光を
かのお城は見おろしている
そして古き 良き時代を語る
岩山の上にそのお城が建てられた時のことを

壮麗なるラインはこれらすべてを描き出すのだ
そのブドウ畑の岸辺で
そして輝く光の中に映し出すのだ
父なる祖国のすべてを

敬虔にして真実なる祖国は
満ち溢れる栄光の中
歓喜とあらゆる歌とを
親愛なる神に授けられたのだ


作品36はロベルト・ライニックRobert Reinick (1805-1852)の詩6篇に付けられた歌曲集です。ライニックという人はシューマンと同時代人で本職は画家であり、描いた絵に詩を添えることで有名であったのだそうです。従いまして本職の詩人の書いたものに比べると、どうしても言い回しなどの深みに欠けてしまうところが出てきてしまうのですが、逆に素朴で生き生きとした視覚的な詩にシューマンも伸び伸びと音楽をつけている感じがして、この歌曲集の魅力を増しています。解説などではよく「ビーダーマイヤー風(小市民風とでもいうのでしょうか)」と良く評されて、あまり傑作とは言われることのない作品ですが、1840年の夏というクララとの結婚がまさに決まったちょうどそのタイミングで書かれたこれらの歌曲、シューマンの恋する思いが率直に表現されているようで、聴いていてとても幸せな気持ちにしてくれる魅力的な歌曲集ということは言っても良いでしょう。個人的にはシューマンのたくさんある歌曲集の中でも大好きな作品のひとつです。
6曲とも長調で、悲しげなメロディが全く顔を出さないというのも特筆すべきことです。

第1曲目はライン川の朝の情景です。川面を進みゆく小船、礼拝をしている教会、歴史の重みを感じさせる教会そしてブドウ畑と情景は次々と展開してゆき、そして最後はこの父なる祖国(とありますがドイツ全体というよりはこのライン川流域の昔の小さな諸侯の領地のイメージですね)の壮麗さを讃えて曲は終わります。たかだか朝の散歩が、壮大な故郷の賛歌と盛り上がってゆくインパクトは格別です。

( 2010.11.07 藤井宏行 )


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