鐘が鳴ります |
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鐘が 鳴ります かやの木山に 山は 寒空 遠茜 一つ星さへ ちらつくものを なぜに ちらりとも 出て見えぬ |
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北原白秋の民謡詩集「日本の笛」、当然と申しましょうか、白秋とのコンビでおびただしい名歌曲を産んだ山田耕筰もいくつかメロディをつけています。といいつつも、白秋全集の解説によりますと意外に少なく
「蟹(がね)味噌」
「あひびき」〜平井康三郎も曲をつけています
「鐘が鳴ります」
「馬売り」
の4曲を数えるのみでした。
中ではこの「鐘が鳴ります」が最も良く知られているでしょうか。
君待てども、空しく日は暮れて行き、星さえも出てきた
なのにあなたは姿さえ見せてくれない...
何ともさびしい片思いの歌です。耕筰もとてもアンニュイなメロディを付けました。ただ日本民謡とはとても申せません。さすがドイツ帰りの西洋音楽家といった感じのクラシックな歌曲です。
雑誌「女性」大正12年8月号に載せられたとのことです。女性誌に掲載というのが何とも言えないですね。
( 2010.11.07 藤井宏行 )