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Freihold   Op.3-6  
  6 Lieder
自由であること  
     六つの歌

詩: リング (Hermann von Lingg,1820-1905) ドイツ
      

曲: シェーンベルク,アルノルト (Arnold Schonberg,1874-1951) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Soviel Raben nachts auffliegen,
soviel Feinde sind auf mich,
soviel Herz an Herz sich schmiegen,
soviel Herzen fliehen mich.
Ich steh allein,ja ganz allein,
wie am Weg der dunkle Stein.
Doch der Stein,er gilt als Marke,
wachend über Menschentun:
daß dem Schwachen auch der Starke
laß das Seine sicher ruh’n.
Wind und Regen trotzt der Stein,
unzerstörbar und allein.
Wohl,so will auch ich vollenden
Unrecht dämmen,bis es bricht.
Mag sein Gift der Neid verschwenden,
mich erlegt er nicht;
Blitze,schreibet auf den Stein:
»Wer will frei sein,geh’ allein!«

たくさんのカラスたちが夜に飛び交い
たくさんの敵が私に襲い掛かる
たくさんの心と心が抱き合い
たくさんの心たちが私から逃げ出す
私はひとりぼっちで立つ、そう全くのひとりだ、
まるで道端の黒い岩のように
だが岩といえども、それは道しるべになる、
人間の営みを見つめる
弱き者も強き者も 
おのおの安らいでいる姿を
風や雨は岩に勇みかかる、
壊し難き 孤独なものに
よかろう、そのように私はなってやろう
悪しきことを防ぐのだ、破壊されるまで
おそらくは羨望の毒は損なわれ
私を滅ぼすことはない
閃光よ 石の上に書き込むのだ:
「自由であろうとする者は、ひとりで行け!」と


作品3最後の曲も詩が難しいです。タイトルにしてから詩本文との関係がよく掴めず、既訳でも「自由保有」であったり「自由な優しさ」であったりするわけですが、このFreihold(英語でいうとFreehold)というのは法律用語で、不動産や役職を世襲・あるいは終身保有できる権利のことだそうです。欧米の社会・文化と密接な関係がありますので、「自由保有」と言われても何のことやら良く分からないということなのですね。迷った末、私はタイトルを「自由であること」としました。
自由であることは孤独であり、そしてその信念を守ることは戦いである、という、何やらシェーンベルク自身の人生を予感するような歌です。

( 2010.10.31 藤井宏行 )


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