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Hochländisches Wiegenlied   Op.25-14  
  Myrten
ハイランドの子守歌  
     ミルテの花

詩: ゲルハルト (Wilhelm Christoph Leonhard Gerhard,1780-1858) ドイツ
      The Highland Balou 原詩: Robert Burns バーンズ

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Schlafe,süsser,kleiner Donald,
Ebenbild des grossen Ronald!
Wer ihm kleinen Dieb gebar,
Weiss der edle Clan aufs Haar.

Schelm,hast Äuglein schwarz wie Kohlen!
Wenn du gross bist,stiehl ein Fohlen;
Geh’ die Eb’ne ab und zu,
Bringe heim ’ne Carlisle-Kuh!

Darfst in Niederland nicht fehlen;
Dort,mein Bübchen,magst du stehlen;
Stiehl dir Geld und stiehl dir Glück,
Und ins Hochland komm zurück!

お休み、かわいい小さなドナルドや
父さんのロナルドにそっくりな子
誰がこの小さな盗人を産んだのか
貴族たちはみな良く知ってるのさ

いたずらっ子め、炭のように黒い瞳の
お前が大きくなったら、子馬を盗むんだよ
低地へ時々降りて行っては
カーライルの牝牛を盗んでおいで!

迷わず低地にお行きよ
そこじゃあね、坊や、盗んでいいんだよ
金を盗んで、お前の幸せを盗んでくるのさ
それから高地へと戻っておいで!


10曲目のハイランドの未亡人にも通じる、抑圧されたスコットランド人の怒りと悲しみが感じられる歌です。子守歌ですから穏やかで優しいメロディなのですが、歌われている中身は彼らを虐げた低地人に対する深い憎しみです。シューマンがなぜこの歌曲集にこの詩を取り上げたのかは何とも不可解。
なお英語の原詩にはブリテンがメロディをつけたものがあり、“A Charm of Lullabies”の1曲です。こちらも異色な詩の子守歌ばかり集めていて興味深い歌曲集。ぜひ探訪してみてください。

( 2010.10.30 藤井宏行 )


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