Hochländisches Wiegenlied Op.25-14 Myrten |
ハイランドの子守歌 ミルテの花 |
Schlafe,süsser,kleiner Donald, Ebenbild des grossen Ronald! Wer ihm kleinen Dieb gebar, Weiss der edle Clan aufs Haar. Schelm,hast Äuglein schwarz wie Kohlen! Wenn du gross bist,stiehl ein Fohlen; Geh’ die Eb’ne ab und zu, Bringe heim ’ne Carlisle-Kuh! Darfst in Niederland nicht fehlen; Dort,mein Bübchen,magst du stehlen; Stiehl dir Geld und stiehl dir Glück, Und ins Hochland komm zurück! |
お休み、かわいい小さなドナルドや 父さんのロナルドにそっくりな子 誰がこの小さな盗人を産んだのか 貴族たちはみな良く知ってるのさ いたずらっ子め、炭のように黒い瞳の お前が大きくなったら、子馬を盗むんだよ 低地へ時々降りて行っては カーライルの牝牛を盗んでおいで! 迷わず低地にお行きよ そこじゃあね、坊や、盗んでいいんだよ 金を盗んで、お前の幸せを盗んでくるのさ それから高地へと戻っておいで! |
10曲目のハイランドの未亡人にも通じる、抑圧されたスコットランド人の怒りと悲しみが感じられる歌です。子守歌ですから穏やかで優しいメロディなのですが、歌われている中身は彼らを虐げた低地人に対する深い憎しみです。シューマンがなぜこの歌曲集にこの詩を取り上げたのかは何とも不可解。
なお英語の原詩にはブリテンがメロディをつけたものがあり、“A Charm of Lullabies”の1曲です。こちらも異色な詩の子守歌ばかり集めていて興味深い歌曲集。ぜひ探訪してみてください。
( 2010.10.30 藤井宏行 )