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Die Hochländer-Witwe   Op.25-10  
  Myrten
ハイランドの未亡人  
     ミルテの花

詩: ゲルハルト (Wilhelm Christoph Leonhard Gerhard,1780-1858) ドイツ
      The Highland Widow's Lament 原詩: Robert Burns バーンズ

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Ich bin gekommen ins Niederland,
O weh! O weh! O weh!
So ausgeplündert haben sie mich,
Dass ich vor Hunger vergeh!

So war’s in meinem Hochland nicht;
O weh! O weh! O weh!
Ein hochbeglücktes Weib,
Als ich,war nicht auf Tal und Höh!

Denn damals hatt’ ich zwanzig Küh’;
O weh! O weh! O weh!
Die gaben Milch und Butter mir,
Und weideten im Klee.

Und sechzig Schafe hatt’ ich dort;
O weh! O weh! O weh!
Die wärmten mich mit weichem Vliess
Bei Frost und Winterschnee.

Es konnte Kein’ im ganzen Clan
Sich grössern Glückes freu’n;
Denn Donald war der schönste Mann,
Und Donald,der war mein!

So blieb’s,bis Charlie Stuart kam,
Alt-Schottland zu befrei’n;
Da musste Donald seinen Arm
Ihm und dem Lande leih’n.

Was sie befiel,wer weiss es nicht?
Dem Unrecht wich das Recht,
Und auf Cullodens blut’gem Feld
Erlagen Herr und Knecht.

O! Dass ich kam ins Niederland!
O weh! O weh! O weh!
Nun gibt’s kein unglücksel’ger Weib
Vom Hochland bis zur See!

あたしは低地にやってきたけど
おお悲しい!おお悲しい!おお悲しい!
こうして何もかも奪われて
あたしはひもじい思いをしてる

あたしのいた高地ではこうではなかったよ
おお悲しい!おお悲しい!おお悲しい!
こんなに幸せな女は
あたしの他には、谷にも山にもいなかったさ

あの頃にゃ牝牛がニ十頭もいて
おお悲しい!おお悲しい!おお悲しい!
ミルクやバターがとれたもんさ
クローバーをもぐもぐ反芻してな

そこには六十頭のヒツジもいたさ
おお悲しい!おお悲しい!おお悲しい!
あたしを柔らかい毛で暖めてくれた
霜や冬の雪から

一族中でも誰もいなかったさ
あたし以上の幸運を掴んでた者は
ドナルドは最高にハンサムな男で
そしてドナルドは、あたしのもんだったんだから

ずっとそうだった チャーリー・スチュアートが来るまでは
スコットランドを解放しようとして
そしてドナルドはその力を
彼と祖国のために求められたのさ

彼らがどうなったか、知らない者がいるかい
無法が正義に勝っちまったのさ
そして血塗られたカロデンの戦場で
主人も召使も死んじまった

ああ!それであたしは低地にやってきたのさ
おお悲しい!おお悲しい!おお悲しい!
今じゃどこにもあたしほど不幸な女はいないさ
高地から海までどこにもね!


イギリスの名誉革命で王位を追われたスチュアート朝の王子チャールズ・スチュアートは、スコットランドの高地(ハイランド)の士族を集めて1745年反乱を企てます。
その最大の戦いとなったのがこの歌でも歌われているカロデンの戦い、スコットランドの軍勢は惨敗し、政府軍は敗残の兵士たちを虐殺、その後ながらくスコットランド人たちにイングランドに対する復讐心を植え付けるひとつのきっかけとなりました。ここで歌っているのはそんな歴史から生まれたひとりの戦争未亡人の嘆き。激しい嘆きの歌声はこの歌曲集の中でもそうとう異色です。

( 2010.10.30 藤井宏行 )


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