Jemand Op.25-4 Myrten |
誰かさんに ミルテの花 |
Mein Herz ist betrübt,ich sag' es nicht, mein Herz ist betrübt um jemand; ich könnte wachen die längste Nacht, und immer träumen von jemand. O Wonne! Von jemand; O Himmel! Von jemand; durchstreifen könnt' ich die ganze Welt, aus Liebe zu jemand. Ihr Mächte,die ihr der Liebe hold, o lächelt freundlich auf jemand! Beschirmet ihn,wo Gefahren droh'n; gebt sicher Geleite dem jemand! O Wonne! dem jemand; O Himmel! dem jemand; Ich wollt',ich wollte,was wollt' ich nicht für meinen jemand! |
私の心は悲しいの、そのことは言わないけれど 私の心は悲しいの、誰かさんのせいで悲しい 私はどんな長い夜でも目覚めていることでしょう それでもいつも誰かさんの夢を見てる ああ 幸せよ! その誰かさんの夢で! ああ 天国よ! その誰かさんの夢で! 世界中でも探して回れるでしょう その誰かの愛を求めて お前たち力よ、愛を守っている力 おお その誰かに優しく微笑んであげてください その人を守ってあげてください、危険が迫ってるときは そしてその誰かさんを安全に導いてあげてください ああ 幸せよ! 誰かさんのため! ああ 天国よ! 誰かさんのために 私はするわ、私はするわ、私のしたくないことだって 私の誰かのためだったら! |
シューマンの26曲からなる歌曲集「ミルテの花」、様々な詩人の様々なスタイルからはる詩に曲をつけていますが、その中で一番取り上げられているのがスコットランドの詩人ロバート・バーンズのもので全部で8曲、全体の三分の一近くを占めています。他にもバイロンが2曲、トマス・ムーアが2曲といった具合でイギリス圏の詩人の詩に付けた歌が全体の半分近くを占めているのがひとつの特徴です。
もともと花嫁クララに捧げるために書かれた歌曲集ではありますが、このバーンズによる曲はあまり花嫁に捧げるといった感じのしないものが多く、この歌曲集をを不思議なものにしています。この曲はそれでもまだ見ぬ未来の恋人に憧れている少女のつぶやきといった感じでかわいらしく、前曲の「くるみの木」から引き続き聴いても違和感のない美しい曲です。
ごくまれに男声によって歌われることもあるようですが、これはやはりうら若き乙女の歌のように私には聴こえます。なおこの曲、第22曲の「Niemand(誰にも)」とタイトルの上では対になっています。
( 2010.10.30 藤井宏行 )