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Dem roten Röslein gleicht mein Lieb   Op.27-2  
  Lieder und Gesänge I
赤い小さなバラに ぼくの恋人はそっくりだ  
     歌曲と歌 第1集

詩: ゲルハルト (Wilhelm Christoph Leonhard Gerhard,1780-1858) ドイツ
      A Red,Red Rose 原詩: Robert Burns バーンズ

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Dem roten Röslein gleicht mein Lieb,
Im Junimond erblüht,
Mein Lieb ist eine Melodei,
Vor der die Seele glüht;

Wie schön du bist,geliebte Maid,
Wie wird das Herz mir schwer,
Und lieben wird’s dich immerdar,
Bis trocken Strom und Meer.

Und würden trocken Strom und Meer,
Und schmölzen Fels und Stein,
Ich würde dennoch lebenslang
Dir Herz und Seele weih’n.

Nun,holdes Liebchen,lebe wohl!
Leb’ wohl,du süße Maid!
Bald kehr’ ich wieder,wär’ ich auch
Zehntausend Meilen weit.

赤い小さなバラに ぼくの恋人はそっくりだ
この六月に咲いているバラに
ぼくの恋人はメロディなんだ
聞けば魂が揺さぶられる

なんて君は美しいんだ、愛しき少女よ
ぼくの心は苦しくなってくる
君への愛は永遠だよ
川や海が干からびるまで

そして川や海が干からびて
岩や石が溶け去ろうとも
それでもぼくは命ある限り
君に心を 魂を捧げよう

さあ、素敵な恋人よ、お別れだ
さようなら、可愛い少女よ
すぐにぼくは帰ってくるよ、たとえぼくが
一万マイル離れていようとも


ロバート・バーンズの有名な愛の詩、これを下地にしたルコント・ド=リルの詩がフォーレによって魅力的な歌曲となった「ネル」ですね。バーンズの原詩はそのフォーレの記事でも引用しましたのでこちらでもご紹介しましょう。ドイツ語の訳詩とは微妙に表現が違っていますが翻訳の枠を踏み外すほどではないようです。

A Red,Red Rose
        by Robert Burns

 My love is like a red,red rose
 That's newly sprung in June:
 My love is like the melody
 That's sweetly played in tune.

 As fair art thou,my bonnie lass,
 So deep in love am I:
 And I will love thee still,my dear,
 Till all the seas gang dry.

 Till all the seas gang dry my dear,
 And the rocks melt with the sun:
 And I will love thee still,my dear,
 While the sands of life shall run.

 And fare thee well,my only love,
 And fare thee well a while!
 And I will come again,my love,
 Though it were ten thousand mile.

赤い、赤いバラ
         ロバート・バーンズ

 ぼくの恋人は 赤い、赤いバラの花
 それは6月に新たにはじけるんだ
 ぼくの恋人はメロディのよう
 それはやさしく奏でられるんだ
 
 きみが綺麗だから、ぼくの可愛い少女よ
 とっても深い愛の中にぼくはいるんだ
 そしてきみをずっと愛し続けよう、ぼくの愛しい人
 すべての海が涸れ果てるまで

 すべての海が涸れ果てて、ぼくの愛しい人よ
 そして太陽で岩が溶かされるまで
 きみをずっと愛するんだ、ぼくの愛しい人よ
 命の砂が落ち続ける限り

 そしてさよなら、ぼくがただ一人愛する人
 さよなら、ほんの少しの間だけね!
 ぼくはまた戻ってくるよ、愛する人よ
 たとえそれが何千マイルの彼方からでも


バーンズの詩についていえば作品25の歌曲集「ミルテの花」でたくさん取り上げており、この歌も本来ならばミルテの方に含まれていたはずのものなのかも知れません。「ミルテの花」の中のバーンズの詩によるどの歌曲よりも妻となるクララにとっては魅力的な贈り物になったような気がしますが、これが外されたのは謎です。あまりにストレートすぎて恥ずかしかったのでしょうか。
詩が同じルーツをもつフォーレの歌曲「ネル」を思わせるような快活な歌。ただこちらの方がもっとしっとりとした感じです。

( 2010.10.16 藤井宏行 )


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