Ich atmet' einen linden Duft Fünf nach Ruckert |
私はほのかな香りをかいだ 5つのリュッケルトの詩による歌曲 |
Ich atmet' einen linden Duft! Im Zimmer stand Ein Zweig der Linde, Ein Angebinde Von lieber Hand. Wie lieblich war der Lindenduft! Wie lieblich ist der Lindenduft! Das Lindenreis Brachst du gelinde! Ich atme leis Im Duft der Linde Der Liebe linden Duft. |
私はほのかな香りをかいだ! 部屋の中には リンデの小枝 一本の贈り物 愛しい人の手から届けられたもの なんてすてきなリンデの香り! なんてすてきなリンデの香り! そのリンデの枝は あなたがやさしく折ったもの! 私はかすかにかぐ このリンデの香りの中に 愛のやさしい香りを |
これは私が思うにマーラーの書いた一番繊細な歌曲ではないでしょうか。リュッケルトの書いた美しい詩に静かに優しく寄り添っているメロディはたいへんに美しいです。
リュッケルトの原詩は歌詞では1節2行目の“Ein Zweig der Linde,”が5行目になっていて、脚韻のバランスが取れていましたが、マーラーが曲を付ける際に変えてしまったのでしょう。ただここでリンデの枝が出てくる方が歌になって見るといい感じではあります。
( 2010.10.11 藤井宏行 )