So laßt mich scheinen Op.98-9 Lieder Und Gesänge Aus Wilhelm Meister |
こうして私を装わせておいて下さい ヴィルヘルム・マイスターよりの歌曲と歌 |
So laßt mich scheinen,bis ich werde, Zieht mir das weiße Kleid nicht aus! Ich eile von der schönen Erde Hinab in jenes feste Haus. Dort ruh' ich eine kleine Stille, Dann öffnet sich der frische Blick, Ich lasse dann die reine Hülle, Den Gürtel und den Kranz zurück. Und jene himmlischen Gestalten, Sie fragen nicht nach Mann und Weib Und keine Kleider,keine Falten Umgeben den verklärten Leib. Zwar lebt' ich ohne Sorg' und Mühe, Doch fühlt' ich tiefen Schmerz genug; Vor Kummer altert' ich zu frühe; Macht mich auf ewig wieder jung! |
こうして私を装わせておいて下さい、私が本当にそうなるまでは 私からこの白いドレスを脱がせたりしないで 私は急いでこの美しい世界から あの堅固な住まいへと向かうのですから そこで私がほんのわずかの間でも安らげば 爽やかな視界がきっと開けてくるのでしょう その時には私はこの清らかな装いを 帯を 冠を返しましょう 天におわします方々は 男か女かなどと尋ねたりは致しませんし どんな衣装であろうとも 清められた体を包むことはありませんから 私は心配事も苦労もなく生きて参りましたが 深い悲しみだけは十分に感じておりました 悲しみのため私は あまりに早く年老いました どうか私にお授けください 永遠の若さを再び! |
シューマンの苦悩に満ちたこの歌曲集が、死を前にしたミニヨンの歌で終わるというのも何とも言えず意味深長なことのように私には思えます。まだそれほど年の行っていない少女のはずですが、ここで歌われる言葉の端々に、長い人生を重ねてきた老人のような深い諦念に満ちた言葉が織りなされて行きます。
「こうして装わせてください」と言っているのは天使のような清らかな白いドレス、天国でそれを脱ぎ捨てるまでは着ていたい、というのはほんのささやかな少女のお洒落の願望でしょうか。ただすべてを諦めきったような音楽は静かに優しく流れて行きます。
( 2010.10.02 藤井宏行 )