Traumgekrönt Sieben frühe lieder |
夢を戴きて 7つの初期の歌 |
Das war der Tag der weißen Chrysanthemen, Mir bangte fast vor seiner Pracht... Und dann,dann kamst du mir die Seele nehmen Tief in der Nacht. Mir war so bang,und du kamst lieb und leise, Ich hatte grad im Traum an dich gedacht. Du kamst,und leis' wie eine Märchenweise Erklang die Nacht. |
それは白い菊の花が咲いていた日のこと 私にはその鮮やかさはこわいくらいでした そしてそのとき、そのときあなたが私から心を奪おうとやってきたのです 深い夜更けに 私はとてもおどおどしてました あなたがやさしく静かにやってきたとき 私はずっと夢の中であなたのことを考えながら あなたはやってきて、そしてひそやかに まるでメルヘンの調べのように 夜は鳴り響いたのです |
リルケの詩のタイトルは厳密にいうと「夢が冠をかぶって」と主語と目的語の関係が違っているようではありますが、ここでは私の受けたイメージで「私」が夢をかぶっているようにしました。またこれは詩集のタイトルで、ベルクが曲を付けたのは「愛 Liebe」と名のついたサブセクションの2番目の詩です。繊細でなんともかわいらしい愛の詩なので、そんな感じで訳語を選んでみましたが、ベルクの音楽はかなり濃密です。鳴り響いた夜とはまたエロスの夜でしょうか。
( 2010.09.30 藤井宏行 )