落葉松 日本の笛 |
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浅間千ヶ滝 からまつ原よ 下(しも)は追分 合(あい)の宿(じゅく) 駒の沓掛 追分手綱 唄もいそいそ 軽井沢 風も吹かぬに からまつ山は、 いつも松葉が はらはらと 誰も通れど、 山道 小道 寒むや からまつ 遠日射 雨に落葉松 谷間にゃ狭霧 せめて面(つら)出せ 閑古鳥 |
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小笠原の明るい情景が一転して、今度は北国信州の歌です。現在の軽井沢付近の中山道、 軽井沢・沓掛・追分という3つの宿場名を歌詞の中に巧みに織り込んで、寂しい落葉松林を抜けて行く馬子の唄でしょうか。ピアノの寂しげな、しかしどことなくユーモラスな伴奏に乗せて、とぼとぼと歩いている、といった感じがぴったりの寂しげに味のある歌が始まります。
千ヶ滝というのもこのあたりにある小さな滝、合の宿というのは参勤交代で大名の一行がひとつの宿場に収まりきれないときに分宿した小さな宿場町のことなのだそうです。
落葉松の葉がはらはらと散り、日差しは遠日射ということですからもう秋も終りの頃でしょう。閑古鳥さえ顔も出さない寂しい街道をひとり歩く寂しさがにじみ出ています。
ちなみに閑古鳥というのはカッコウのことだそうです。
( 2010.09.26 藤井宏行 )