Lied des Verfolgten im Turm Des Knaben Wunderhorn |
塔に囚われて迫害を受けし者の歌 子供の不思議な角笛 |
Der Gefangene: Die Gedanken sind frei, wer kann sie erraten; sie rauschen vorbei wie nächtliche Schatten, kein Mensch kann sie wissen, kein Jäger sie schießen; es bleibet dabei, es bleibet dabei: die Gedanken sind frei! Das Mädchen: Im Sommer ist gut lustig sein, auf hohen,wilden Heiden. Dort findet man grün' Plätzelein, mein Herz verliebtes Schätzelein, von dir,von dir mag ich nicht scheiden! Der Gefangene: Und sperrt man mich ein in finstern Kerker, dies Alles sind nur, dies Alles sind nur vergebliche Werke; denn meine Gedanken zerreißen die Schranken und Mauern entzwei, die Gedanken sind frei! Die Gedanken sind frei! Das Mädchen: Im Sommer ist gut lustig sein, gut lustig sein auf hohen wilden Bergen. Man ist da ewig ganz allein auf hohen wilden Bergen, man hört da gar kein Kindergeschrei, kein Kindergeschrei. Die Luft mag einem da werden, die Luft mag einem werden. Der Gefangene: So sei's,wie es will! Und wenn es sich schicket, nur Alles,Alles sei in der Still'! nur all's in der Still’, all's in der Still’! Mein Wunsch und Begehren niemand kann’s wehren! Es bleibet dabei: die Gedanken sind frei. die Gedanken sind frei! Das Mädchen: Mein Schatz,du singst so fröhlich hier, wie's Vögelein im Grase; Ich steh’ so traurig bei Kerkertür, wär’ ich doch tot,wär’ ich bei dir, ach,muß,ach,muß ich immer denn klagen? Der Gefangene: Und weil du so klagst, der Lieb’ ich entsage! Und ist es gewagt, und ist es gewagt, so kann mich nicht plagen! So kann ich im Herzen stets lachen und scherzen. Es bleibet dabei, es bleibet dabei: Die Gedanken sind frei! Die Gedanken sind frei! |
囚人: 考えることは自由だ だれがそれを推量できよう それらはすぐに消え去るのだ まるで夜の影のように だれもそれを知ることはできないし いかなる狩人とて撃つことはできぬ そういうものなのだ そういうものなのだ 考えることは自由だ! 乙女: 夏にはとっても素敵なの 高いところの自然の野原は そこでは誰でも緑のいい場所を見つけられるわ 私が心から愛しているお方 あなたから あなたから私は離れていたくないの 囚人: 俺を閉じ込めて置こうと この暗い牢獄の中に そんなのは皆 全く そんなのは皆 全く 無駄な骨折りだ なぜなら俺の考えることは 格子など打ち壊し 壁を真っ二つにするのだから 考えることは自由だ! 考えることは自由だ! 乙女: 夏にはとっても素敵なの とても素敵なのです 高い自然の山々の上は 誰でもそこではたったひとり 高い自然の山々の上は 子供たちの叫び声も聞こえないし 子供たちの叫び声も 空気もそこにしかないものになるのです そう 空気もそこにしかないものになるのです 囚人: それならそれで構わぬ、あるがままで! そしてもしもそうであるなら ただあらゆることが静けさの中にあって欲しい ただあらゆることが静けさの中に あらゆることが静けさの中に 俺の願いと希望を 誰も妨げることはできない そういうものなのだ 考えることは自由だ 考えることは自由だ 乙女: 私の愛する人、あなたはここでなんて陽気に歌うの まるで草の中の小鳥みたいに 私は悲しく牢屋の門のそばに立っている いっそ死んでしまえたら、あなたのそばにいられたら ああ、私はっずっと嘆いていなければならないのですか? 囚人: お前がそんなに嘆くなら 俺は愛なんて捨ててしまおう そしてそのことができたなら そしてそのことができたなら 俺を苦しめることは何もない! そうすりゃできるんだ 心の中で いつも笑ったり、冗談を言ったり そういうものなのだ そういうものなのだ 考えることは自由だ! 考えることは自由だ! |
アルニムがスイス旅行に行った際に持ち帰ってきたものなのだそうで、ここで塔に閉じ込められているのは政治犯、あるいは思想犯の男なのでしょう。
怒りまくっている男とそれに絡みつく女というシチュエーションは第1曲目の「歩哨の夜の歌」と良く似ていますが、男の一徹振りはあれ以上ですし、女の方の誘い方はあれ以上にコケティッシュ、かくして一層ふたりのチグハグさは増しました。ただ穿った見方をすると、ここで登場してくる女性は「考えることは自由だ」と叫んでいるこの男のまさに「考えること」の中に登場してきている妄執ではないかとも読めますので、実はこの男の心の迷いを表しているのかも知れません。
最後にその執着を断ち切って「自由だ」と叫ぶ男。決然とした意志表明は力強くもありますが、どこか皮肉っぽい揶揄を感じるのも事実です。
(2010.08.01)
Die Gedanken sind freiというのは18世紀に流行した唱歌なのだそうで、ドイツ民謡を収めたアルバムなどで時折耳にすることができます。この男も流行のフレーズを口ずさむ結構ミーハーなところがあるのかも知れません。革命思想とかに染まるのも傍から見ていると流行に乗っかっているだけのように見えることもあるのであながち的外れでもないかも。Die Gedanken sind frei、その唱歌の方はもっと屈託のないメロディで、この怒りにあふれて叩きつけるような音楽とはだいぶ違っています。訳詞改訂
( 2012.08.31 藤井宏行 )