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La grenouille qui veut se faire aussi grosse que le boeuf    
  Trois Fables de La Fontaine
牛になろうとした蛙の話  
     ラ・フォンテーヌの3つの寓話

詩: ラ・フォンテーヌ (Jean de La Fontaine,1621-1695) フランス
    Fables  La grenouille qui veut se faire aussi grosse que le boeuf

曲: マンツィアリー (Marcelle de Manziarly,1899-1989) フランス   歌詞言語: フランス語


Une Grenouille vit un Boeuf
Qui lui sembla de belle taille.
Elle,qui n'était pas grosse en tout comme un oeuf,
Envieuse,s'étend,et s'enfle,et se travaille,
Pour égaler l'animal en grosseur,
Disant: “Regardez bien,ma soeur ;
Est-ce assez? dites-moi ; n'y suis-je point encore?
- Nenni. - M'y voici donc? - Point du tout. - M'y voilà?
- Vous n'en approchez point.” La chétive pécore
S'enfla si bien qu'elle creva.
Le monde est plein de gens qui ne sont pas plus sages:
Tout bourgeois veut bâtir comme les grands seigneurs,
Tout petit prince a des ambassadeurs,
Tout marquis veut avoir des pages.

一匹の蛙が牛を見た
その大きいこと立派なこと
卵の大きさもない蛙は
羨ましくて 背伸びし 息を吸って膨れ
同じくらい大きくなろうとした
そして言うには 「よく見てくれ 姐さんたちよ
これ位かい?教えてくれ まだダメかい?」
「全然ダメ」「これでどうだ?」「まだまだね」「じゃあこれで?」
「まるでくらべものになんないわ」 かわいそうな生き物は
膨れすぎて破裂してしまいましたとさ
この世にはそんなあまり賢くない人がたくさん居ます
小市民なのに王侯貴族みたいな屋敷を建てたがったり
小さな国の王さまも大使を抱えてますし
侯爵はみんなお小姓を持ちたがるのです

有名なフォンテーヌの寓話なので、詩はみなさんもご存知だと思いますが作曲家の名前はご存知ないのでは?私もこの曲を聴くまでは知りませんでしたが、プーランクをアグレッシブにしたようななかなか面白い曲を書く女性作曲家です。これはラ・フォンテーヌの3つの寓話という曲の中の1曲で、他の2曲も「セミとアリ」(夏中遊んでいたセミが寒くなって困る話)と「矢で傷ついた鳥」(自分の仲間の羽で作られた矢で傷つけられて運命を嘆く鳥の話)という割合有名な話なので、歌物語として原語で聴けるのは貴重です。蛙の話は会話のコミカルなところが◎で、最後は死んでしまうのに微笑ましい仕上がりです。
この曲はスイス出身の人間国宝級テナー、ユグ・キュエノー(1902生まれ)が1978年に録音したNimbus盤で見事な歌唱が聴けます。このCDは他にもルーセルやミヨーなど、フランス歌曲でもクセ者作家の曲を多く収録しているので、キワモノ系をお探しの方は是非どうぞ。

( 1999.08.06 藤井宏行 )


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