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Der Nachtwandler    
  Brettl-Lieder
夜練り歩くヤツ  
     ブレットルリーダー

詩: ファルケ (Gustav Falke,1853-1916) ドイツ
    Deutsche Chansons - Brettl-Lieder  Der Nachtwandler

曲: シェーンベルク,アルノルト (Arnold Schonberg,1874-1951) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Trommler,laß dein Kalbfell klingen,
Und,Trompeter,blas darein,
Daß sie aus den Betten springen,
Mordio,Michel,Mordio! schrein.
Tuut und trumm,tuut und trumm,
Zipfelmützen ringsherum.

Und so geh' ich durch die hellen,
Mondeshellen Gassen hin,
Fröhlich zwischen zwei Mamsellen,
Wäscherin und Plätterin:
Links Luischen,rechts Marie,
Und voran die Musici.

Aber sind wir bei dem Hause,
Das ich euch bezeichnet hab',
Macht gefälligst eine Pause,
Und seid schweigsam wie das Grab!
Scht und hm,scht und hm,
Sachte um das Haus herum.

Meine heftige Henriette
Wohnt in diesem kleinen Haus,
Lärmen die wir aus dem Bette,
Kratzt sie uns die Augen aus.
Scht und hm,scht und hm,
Sachte um das Haus herum.

Lustig wieder,Musikanten!
Die Gefahr droht nun nicht mehr;
Trommelt alle alten Tanten
Wieder an die Fenster her!
Tuut und trumm,tuut und trumm,
Zipfelmützen ringsherum.

Ja,so geh' ich durch die hellen,
Mondeshellen Gassen hin,
Fröhlich zwischen zwei Mamsellen,
Wäscherin und Plätterin:
Links Luischen,rechts Marie,
Und voran die Musici.

鼓手よ、お前の子牛の皮を響かせるんだ
そして、ラッパ手よ、一緒に吹け
やつらをベッドから叩き出して
殺人だ、ミヒェル、殺人だって叫ばせるのさ!
タンタン タラン タンタン タラン
ナイトキャップがあちらこちら

こんな感じでオレは歩いてゆく 明るい
月明かりの小道を抜けて
陽気にふたりの別嬪さんに挟まれて
洗濯女とアイロン女
左がルイーザちゃんで、右がマリー
そして前には音楽隊

だがあの家にさしかかったら
オレはお前たちに言わなくちゃなんねえ
ちょっと一休みしようぜって
そして墓場みたいに静かにしろよってな!
シーッ フム シーッ フム 
静かにその家のまわりをな

オレの凶暴なヘンリエッタが
その小さな家には住んでるからよ
この騒音でベッドから引っ張り出したりすりゃ
あいつはオレたちの目玉をえぐり取りかねねえ
シーッ フム シーッ フム 
静かにその家のまわりをな

陽気にもう一度 音楽隊
もう危険はなくなった
太鼓を叩けよ 年増のオバンたちが
また窓から顔を出す!
タンタン タラン タンタン タラン
ナイトキャップがあちらこちら

ああ、こんな感じでオレは歩いてゆく 明るい
月明かりの小道を抜けて
陽気にふたりの別嬪さんに挟まれて
洗濯女とアイロン女
左がルイーザちゃんで、右がマリー
そして前には音楽隊


賑々しい伴奏に乗せて、夜の行進が始まります。シェーンベルクもこの曲だけはピアノだけでなく、ピッコロとトランペット、それにスネアドラムを伴奏に加えていますのでほとんどチンドン屋状態です。「夢遊病者」という邦題になっていることが多いですが、ちょっと歌の内容にそぐわないタイトルのように思いますので、私は内容に合わせて「夜練り歩くヤツ」としてみました。こういう近所迷惑を音楽隊まで動員してやっているだけでも十分にヘンな男ですが、その周りを取り巻く女性たちも何か不思議な人たちです。
あまりにキッチュな音楽と、それほど笑えないベタなギャグ(凶暴な妻の寝ている前を静かに行進するところ)で、私はシェーンベルクのキャバレーソングの中ではそれほど傑作ではないように思っているのですが、結構インパクトがあるためか、この歌曲集を取り上げるときには曲順を変えて最後に持ってくることも多いようです。
この曲の詩を書いたファルケGustav Falke (1853-1916)も、シェーンベルクやリヒャルト・シュトラウスのいくつかの歌曲の詩を書いた人として知られています。当時活躍した気鋭の詩人といったところでしょうか。

( 2010.07.17 藤井宏行 )


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