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Élégie    
 
エレジー  
    

詩: ガレ (Louis Gallet,1835-1898) フランス
      

曲: マスネ (Jules-Emile-Frederic Massenet,1842-1912) フランス   歌詞言語: フランス語


O doux printemps d’autrefois,
Vertes saisons,vous avez fui pour toujours!
Je ne vois plus le ciel bleu,
Je n’entends plus les chants joyeux des oiseaux!...

En emportant mon bonheur,
O bien-aimé,tu t’en es allé!
Et c’est en vain que revient le printemps!
Oui! sans retour,avec toi,le gai soleil,

Les jours riants sont partis!
Comme en mon cœur tout est sombre et glacé!
Tout est flétri! Pour toujours!

おお甘き春よ 過ぎ去った昔の
緑の季節よ、お前は永遠に去ってしまった!
あの青空をもう見ることはない
あの鳥のさえずりを聴くことも!

私の幸せをみな持って
おお恋人よ、お前は行ってしまった!
春が戻ってもむなしいだけ!
そうなのだ!帰ってこないのだ、お前も、太陽の輝きも

微笑みの日々は消え去ってしまった
私の心の中は暗く凍り付いている!
すべては終わった! 永遠に!


マスネの歌曲の中ではたぶん一番有名な曲で、器楽やオーケストラの曲にも編曲されていますから耳にされた方は多いのではないかと思います。しかし、この曲を聴いていると、あのシャンソンの名曲「枯葉」と詩も旋律もほとんど違わない世界が広がっているなあということを感じます。こういうのを目のあたりにするとクラシックとそれ以外のジャンルの分け方などあって無いが如きだと思うのですがいかがでしょうか。
曲はマスネの作品の中でも比較的初期のもので、その臆面のないセンチメンタリズムが心地よいですけれど、この人の歌曲は晩年の作品でもそんなに枯れておらず、蕩けるようなメロディがてんこ盛りですから、初期後期こだわらずまとめてBGMに聴くとハマる人はハマれます(嫌いな人は徹底的に嫌いでしょうが)
残念なことにそういう歌曲集があまりないのが難点ですけれども。
しかしこの曲のひときわ凄いところは詩もセンチメンタルの極致なところで、この徹底した嘆きのステレオタイプが私の訳から伝わればよいのですが。
この阿片のようなマスネ歌曲集を私はフランスのSONPACTというレーベルから出ているPRUETTのテナー(かなりバリトン)の歌で聴いています。もっとリリックなテナーのやつを探しているのですがまだ発見には至っていません。でもこの歌の一番のポイントはクサいほどにフランス語のイントネーションを強調すること、この点ではPRUETTの歌はなかなかです。

( 1999.08.06 藤井宏行 )


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