Scheiden und Meiden Lieder und Gesänge aus der Jugendzeit |
別れて会えない 若き日の歌 第三集 |
Es ritten drei Reiter zum Tor hinaus, Ade! Fein's Liebchen schaute zum Fenster hinaus, Ade! Und wenn es denn soll geschieden sein, So reich' mir dein goldenes Ringelein. Ade! Ja scheiden und meiden tut weh. Es scheidet das Kind schon in der Wieg', Ade! Wenn werd' ich mein Schätzel wohl kriegen? Ade! Und ist es nicht morgen,ach,wär es doch heut', Es macht uns allbeiden gar große Freud', Ade! Ja scheiden und meiden tut weh. |
三人の騎士が門から駆けて行った さよなら! きれいな乙女が窓から見送っていた さよなら! もしもこれがお別れだというのなら あなたの金の指輪をくださいな さよなら! そう、別れて会えないのはつらいこと 子が揺りかごの中に残されている さよなら! いつあたしは愛する人を捕まえられるの? さよなら! それが明日でないのなら 今日だっていいでしょ そうなればふたりには大きな幸せがくるのに さよなら! そう、別れて会えないのはつらいこと |
勇ましい騎馬のリズムに乗せてちょっぴりユーモラスな別れの情景が力強く歌われます。Adeというのはラテン語系の言葉ですし、非常に短い音節なので、語感としてはちょっと軽い感じでしょうか。「バイバイ」くらいに訳した方がこの曲の軽やかなメロディに合っているような気もしなくはありません。
もっとも「少年の不思議な角笛」の原詩では真ん中にもう1節あってそこではこんな感じでかなり重たく「死」のことが歌われています。
私たちを別れさせるもの、それは死だ
さよなら!
死はたくさんの乙女たちをも血に染めてきた
さよなら!
だけどそれが愛する者の体だったなら
愛は甘美な慰みになるのだが
さよなら!
そう、別れて会えないのはつらいこと
Und der uns scheidet,das ist der Tod,
Ade!
Er scheidet so manches Jungfräulein roth,
Ade!
Und wär doch geworden der liebe Leib,
Der Liebe ein süßer Zeitvertreib,
Ade!
Ja,scheiden und lassen thut weh.
さらに言いますと、この節を受けて次の節の冒頭の主語はEs(それ)ではなくEr(彼)に原詩ではなっています。つまり「揺りかごの中の子供さえも死(Er)は別れさせる」というのが原詩の意味するところだったのです。そうすると次の「いつあたしは愛する人を捕まえられるの」とあるのも死神のセリフと取るのが自然であり、この詩、えらく怖いことを歌っているのですね。マーラーの手が入ることによってすっかり雰囲気が変わってしまいました。ちなみに原詩のタイトルはこの詩の冒頭に出てくる「三人の騎士が門から」です。
( 2010.06.26 藤井宏行 )