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青い眼の人形    
 
 
    

詩: 野口雨情 (Noguchi Ujyou,1882-1945) 日本
    青い眼の人形(1924)  

曲: 本居長世 (Motoori Nagayo,1885-1945) 日本   歌詞言語: 日本語


青い眼をしたお人形は
アメリカ生まれのセルロイド

日本のみなとへついたとき
いっぱいなみだをうかべてた
わたしはことばがわからない
まいごになったらなんとしょう

やさしい日本のじょうちゃんよ
なかよくあそんでやっとくれ
なかよくあそんでやっとくれ



大正時代、それまでの文語体で堅苦しい文部省唱歌に反発し、わらべ歌の復権を目指して詩人や作曲家が集まったのが雑誌「赤い鳥」なのだそうですが、この頃の童謡は今聴き直してみると恐ろしくモダンなことに驚かされます。「揺籠のうた」(北原白秋/草川信)や「おもちゃのマーチ」(海野厚/小田島樹人)がこの時期の作品だということも意外ですし、「七つの子」(野口雨情/本居長世)や「夕焼小焼」(中村雨紅/草川信)など耳にタコができるほど子供の頃に聴き込んだ曲も、あらためてきちんとした録音で聴くと、特に伴奏の精緻なことがとても印象的でした。
大正10年作のこの曲も、私にとってはそんな印象に残った一曲、確かに中間部「私は言葉がわからない」の所あたりは思い切り演歌入ってますが(アメリカの人形のセリフなのに...)、前奏の飛び跳ねるようなピアノのリズムもはっとする新鮮さを感じましたし、「お人形は」のところのアンニュイなメロディ、「アメリカ生まれの」のところのスタッカートとピアノの掛け合い、いやじっくり聴いてみると本当に面白いですね。
藍川由美さんの「日本の童謡」のCD(King)はこんな風に発見の宝庫です。
(以前彼女の録音した大中恩さんの「サッちゃん」を絶賛しましたが)
是非多くの方に聴いて頂きたい名アルバムのひとつです。しかし彼女の研究、どこまで行くのでしょうか(よもや古賀政男までいくとは!、 がんばれ由美さん、次は船村徹かっ?←チェンバロ伴奏の「王将」など聴いてみたい。ところでこの「王将」、詩が西条八十なんですね。知ってました?
(若い人は曲自体知らないか)

( 1999.06.27 藤井宏行 )


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