Der Sandmann Op.79-12 Liederalbum für die Jugend |
眠りの精 若者のための歌のアルバム |
Zwei feine Stieflein hab ich an mit wunderweichen Söhlchen dran, ein Säcklein hab ich hintenauf! husch! trippl' ich rasch die Trepp hinauf. und wenn ich in die Stube tret, die Kinder beten ein Gebet: von meinem Sand zwei Körnelein streu ich auf ihre Äugelien, da schlafen sie die ganze Nacht in Gottes und der Englein Wacht. Von meinem Sand zwei Körnelein streut' ich auf ihre Äugelein: den frommen Kindern soll gar schön ein froher Traum vorübergehn. Nun risch und rasch mit Sack und Stab nur wieder jetzt die Trepp hinab. Ich kann nicht länger müßig stehn, muß heut noch zu gar vielen gehn. Da nickt ihr schon und lacht im Traum, und öffnete doch mein Säcklein kaum. |
一足のかわいいブーツを私は履いてます とっても柔らかい皮でできているブーツを 一個のかわいいサックを私は背負ってます! 大急ぎ!私は階段を駆けあがります そして部屋に入ったなら 子供たちはちょうどお祈りをしているところ 私の砂から二粒ずつ 私は子供たちの目に振りかけるのです そうすれば子供たちは一晩中眠れるのだから 神様や天使たちに見守られて 私の砂から二粒ずつ 私は子供たちの目に振りかけるのです そうすればきっと良い子たちに 楽しい夢がやってくるから さてそれからまた大急ぎでサックと杖を持って 私は階段を駆け降ります いつまでもぐずぐずしてはいられない 今日はまだたくさんいかなければならないところがあるから おや きみはもう夢の中で笑っているね まだ私のサックを開けてもいないというのに |
日本にはそういう伝説がないこともあって「眠りの精」と訳されますが、正しくはメルヘンのかけらもないような気もしますけれど「砂男」です。眠らない子供たちの目に砂をかけて眠りに誘う妖精ですので「眠りの精」でも決して間違っているというわけではないですが。
歌詞にあるような描写がそのいでたちと振る舞いということで良いと思います。なんとなく小人のイメージがすることから「砂の小人」と訳されることもあります。ここではタイトルを迷った末、やはり当たり障りのない「眠りの精」としました。
シューマンの描写したこの眠りの精、哀愁漂うピアノの伴奏とともに立ち現われてきます。この伴奏のメロディ、同じシューマンの有名な歌曲集「詩人の恋」から、恋人が別の男と結婚してしまう宴の席で流れる音楽を描写した「鳴るのはフルートとヴァイオリン」のそれに非常に良く似ています。
悲しげではあるのですが、どこか暖かい響きが聴こえてくるのが印象的な歌曲です。
( 2010.05.30 藤井宏行 )