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Catalogue de Fleurs   Op.60  
 
花のカタログ  
    

詩: ドーデー,ルシアン (Lucien Alphonse Daudet,1883-1946) フランス
      

曲: ミヨー (Darius Milhaud,1892-1974) フランス   歌詞言語: フランス語


1. La violette
La violette cyclope se force admirablement d'un beau rouge Solférino.
Elle est très parfumée,hâtive et vigoureuse.

2. Le bégonia
Bégonia Aurora,fleur très double;
abricot mêlé de corail; coloris très joli,rare et curieux.

3. Les fritillaires
Les fritillaires aiment les endroits exposés au soleil
et à l'abri du vent et des gelées printanières. Pendant l'hiver on les couvre.
On les appelle aussi Oeufs de Vanneau et Couronnes Impériales.

4. Les jacinthes
Albertine blanc pur. Lapeyrouse mauve clair.
Roi des Belges carmin pur,
Roi des bleus,bleu foncé.
Mademoiselle de Malakoff jaune vif à bouquet.

5. Les crocus
Les Crocus se forcent en potées ou dans des soucoupes,
sur de la mousse humide.
À la pleine terre,seuls ou mêlés à d'autres plantes printanières,
ils font un très bel effet.

6. Le brachycome
Brachycome iberidifolia; étoile bleue.
Nouveauté,plante naine charmante
couverte de fleurs bleues,d'un bleu vif.

7. L'eremurus
Eremurus isabellinus,sa floraison est garantie.
La hampe de cette magnifique espèce
atteint parfois deux mètres; ses fleurs
sont d'un beau coloris entre jaune et rose
et d'une longue durée.
Vous recevrez les prix par correspondance.

1)カトレア
ヴァイオレット・キュクロペス。魅惑的な赤、唐紅色で
非常に良い香りがします。早咲きで強健です。

2)ベゴニア
ベゴニア・オーロラ。見事な八重咲きで、
珊瑚色と杏色のまじる美しい彩り。数の少ない珍品です。

3)フリティラリア(あみがさゆり)
フリティラリアは日当たりの良い場所を好みます。
風と遅霜を避け、冬の間は覆いをすること。
タゲリ(※)の卵、皇帝の冠などと呼ばれます。

4)ヒヤシンス
純白のアルベルティン。鮮やかな藤色のラピローズ。
澄んだブルーの”青の王”。
紺色の”ベルギーの王”。
黄色のマドモアゼル・ド・マラコフ。さまざまな色の花束。

5)クロッカス
クロッカスは受け皿に置いた
湿ったコケの上で育てます。
他の春のいろいろな花と一緒に植えると
美しく映えます。

6)ブラキカム(ヒメコスモス)
ブラキカム・イベリディフォリアは青い星。
珍しい青色の花で、
魅惑的な小型の植物です。

7)エルムルス
エルムルス・イザベリヌス。開花保証付。
この大きな植物の茎は
時に2メートルに達します。
その花は黄色とピンクの混ざった美しい色で、
開花期間も長いです。
価格は郵便でお知らせいたします。

(※)田計里。チドリ科でやや大型の渡り鳥。アジア、ヨーロッパに分布する。


白井さんのCDアルバム「花の歌曲集”Blumenlieder”」に入っているので知った、花屋さんのカタログの文句にそのまま作曲したというユニークな作品です。
最後の一言が笑わせてくれます。各曲はほとんど1分以下で、全7曲通して歌ってもたった5分少々にしかならない可愛らしくも美しく楽しい 歌曲集です。

迷ったのは最初の曲で、タイトルは「すみれ」なのですが、「ヴァイオレット・ キュクロペス」という名の植物を調べてみるとどう見てもカトレアなのです。もうひとつのCD、ヨアヒム盤の解説では、「一つ目巨人のすみれ」とはパンジーのことであろうとしていますが、ここはカトレアにしておきました。ヒヤシンスの項のいくつかの種類の名前はフランス語の辞書にも載っていないので、カタカナにしておきました。大体の花はネットで検索すると画像が見られますが、最後のエルムルスはなるほど大きな植物でした。

CDは白井さん(独シグナム)とイレーネ・ヨアヒム(仏シャンデュ・モンド)があります。ヨアヒムはドビュッシーの歌劇「ペレアスとメリザンド」の伝説的な戦争中の録音(デゾルミエール指揮)でメリザンドを歌っていた歌手です。白井さんはピアノ伴奏ですが、ヨアヒム盤はモーリス・フランク指揮の器楽アンサンブルの伴奏で歌っています。どちらがオリジナルなのかわかりませんが、印象派風の色彩的な器楽伴奏も悪くありません。しかし53年録音のヨアヒムは盛時をやや過ぎているようで、若き日の白井さんのみずみずしい歌声が断然魅力的です。「ベゴニア・・・・オーロラ・・・」という言葉の響きを聴いただけでうっとりしてしまいます。
 

( 2003.01.26 甲斐貴也 )


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