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Mon histoire   Op.148b-1  
  Trois Chansons de Negresse
私の物語  
     3つの黒人女の歌

詩: シュペルヴィエル (Jules Supervielle,1884-1960) フランス
      

曲: ミヨー (Darius Milhaud,1892-1974) フランス   歌詞言語: フランス語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
まだ私が小さかった時
奴隷商人がやってきて
本当のことを言わぬまま
私をアフリカから連れ去った。

船底にたくさん詰め込まれ
海を渡る途中で知った
私は奴隷にされたのだ

知らなきゃよかった
兄弟よ、なんと悲しい
こんな不幸を見るのはつらい

ああ、
ちょっとついてなかっただけじゃなくて
これは災いであり、怒りの塊だった。

でも今やわれらは自由の身
どこでも行きたいところに行ける
肌の色は黒くても
白人と同じことができる

片足は前に、もう一方は後に
われらは皆神の子
自由で気ままさ

(詩は大意です)

私にとってダリウス・ミヨーという作曲家は、どんなラテンアメリカの作曲家もここまでノーテンキな音楽は書いていないだろうという強烈なバレエ曲「屋根の上の牛」の作者として記憶に留まっています。彼のブラジル滞在体験は、かの地のアフロ・アメリカンやラテンの音楽と混じり合って不思議な魅力を醸し出しているのですが、その雰囲気を歌曲で一番ストレートに出しているのはこの曲でしょう。明るく熱狂的なラテンのリズムの伴奏が流れてきた途端いったい何が始まったのかと思いました。詩は奴隷の苦しみから始まりますが、そんな暗さは微塵も感じさせない威勢の良いもので、一度聴いたら忘れられないメロディで彩られています(ポピュラー曲としてもヒットしそう)。
特に最後のフレーズ、「片足は前に、もう一方は後ろに(La jambe par devant, La jambe par derrere)」のところは、語感とリズムと音楽が絶妙のコンビネーションで最高です。
CDはCPOから出ているミヨー歌曲集の冒頭を飾っているのしか知らないのですが(ドンブラディのメゾ)、ピアノ伴奏といいなかなか良いです。でももっとハメを外したラテンアメリカ系の歌手で思いっきり元気に歌ったのがもしあれば絶品でしょう。

( 1999.06.20 藤井宏行 )


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