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Wiegenlied im Sommer    
  Sechs Lieder für eine Frauenstimme
夏の子守歌  
     女声のための6つの歌

詩: ライニック (Robert Reinick,1805-1852) ドイツ
    Vier Wiegenlieder  Im Sommer

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Vom Berg hinabgestiegen
Ist nun des Tages Rest;
Mein Kind liegt in der Wiegen,
Die Vögel all' im Nest;
Nur ein ganz klein Singvögelein
Ruft weit daher im Dämmerschein:
“Gut' Nacht! gut' Nacht! Lieb' Kindlein,gute Nacht!
 Gut' Nacht! gut' Nacht! Lieb' Kindlein,gute Nacht!”

Die Wiege geht im Gleise,
Die Uhr tickt hin und her,
Die Fliegen nur ganz leise
Sie summen noch daher.
Ihr Fliegen,laßt mein Kind in Ruh'!
Was summt ihr ihm so heimlich zu?
“Gut' Nacht! gut' Nacht! Lieb' Kindlein,gute Nacht!
 Gut' Nacht! gut' Nacht! Lieb' Kindlein,gute Nacht!”

Der Vogel und die Sterne,
Und alle rings umher,
Sie haben mein Kind so gerne,
Die Engel noch viel mehr.
Sie decken's mit den Flügeln zu
Und singen leise: “Schlaf in Ruh!
“Gut' Nacht! gut' Nacht! Lieb' Kindlein,gute Nacht!
 Gut' Nacht! gut' Nacht! Lieb' Kindlein,gute Nacht!”

山から降りてきて
もうお日様もお休みしようとしているわ
私の坊やも揺りかごの中
小鳥たちもみんな巣の中よ
たった一羽の歌う鳥だけが
夕暮れの中でこう歌ってる
「おやすみ、おやすみ、可愛い坊や、おやすみ!
 おやすみ、おやすみ、可愛い坊や、おやすみ!」

揺りかごはゆっくり揺れて
時計もゆっくりと時を刻む
虫たちだけがただ静かに
ぶんぶん言っている まだずっと
虫さんたち、私の坊やを休ませてね
坊やにそっと何をささやいているの?
「おやすみ、おやすみ、可愛い坊や、おやすみ!
 おやすみ、おやすみ、可愛い坊や、おやすみ!」

小鳥も 星たちも
そしてまわりのものたちはみんな
私の坊やがとても大好きなの
天使さまはもっと好いてくださって
坊やをその翼で包んでくださるわ
そしてやさしく歌ってくださる:静かにお眠り と
「おやすみ、おやすみ、可愛い坊や、おやすみ!
 おやすみ、おやすみ、可愛い坊や、おやすみ!」


ヴォルフの繊細さを感じさせる、溜息ものの美しい子守歌です。1880年の作曲といいますのでまだヴォルフ20歳のときの作品。まるでブラームスの曲のように響きます。ですが、彼の繊細さがうまく現れて、とても味わい深いものになっているように思えます。6曲からなる「女声のための6つの歌」の中ではもっとも良く取り上げられる作品で、シュワルツコップはじめ、大歌手たちの吹き込んだ録音もかなりあります。
詩人のライニックについては経歴など調べきれておりませんが、この詩は「四つの子守歌 Vier Wiegenlieder」という連作の中の2番目のものなのだそうで、同じ連作の4番目「冬の子守歌」についてもヴォルフは同じ歌曲集で取り上げております。残りの春と秋は別の作曲家の手になる歌曲はあるようですが、ヴォルフは残念ながら取り上げておりません。

( 2010.03.28 藤井宏行 )


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