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La fleur des eaux   Op.19  
  Poème de l'Amour et de la Mer
水の中の花  
     愛と海の詩

詩: ブショール (Maurice Bouchor,1855-1929) フランス
    Les poëmes de l'amour et de la mer - La fleur des eaux 1・4・47 

曲: ショーソン (Amédée-Ernest Chausson,1855-1899) フランス   歌詞言語: フランス語


L'air est plein d'une odeur exquise de lilas,
Qui,fleurissant du haut des murs jusques en bas,
Embaument les cheveux des femmes.
La mer au grand soleil va toute s'embrasser,
Et sur le sable fin qu'elles viennent baiser
Roulent d'éblouissantes lames.

O ciel qui de ses yeux dois porter la couleur,
Brise qui vas chanter dans les lilas en fleur
Pour en sortir tout embaumée,
Ruisseaux,qui mouillerez sa robe,O verts sentiers,
Vous qui tressaillerez sous ses chers petits pieds,
Faites-moi voir ma bien aimée!


Et mon coeur s'est levé par ce matin d'été;
Car une belle enfant était sur le rivage,
Laissant errer sur moi des yeux pleins de clarté,
Et qui me souriait d'un air tendre et sauvage.

Toi que transfiguraient la Jeunesse et l'Amour,
Tu m'apparus alors comme l'âme des choses;
Mon coeur vola vers toi,tu le pris sans retour,
Et du ciel entr'ouvert pleuvaient sur nous des roses.


Quel son lamentable et sauvage
Va sonner l'heure de l'adieu!
La mer roule sur le rivage,
Moqueuse,et se souciant peu
Que ce soit l'heure de l'adieu.

Des oiseaux passent,l'aile ouverte,
Sur l'abîme presque joyeux;
Au grand soleil la mer est verte,
Et je saigne,silencieux,
En regardant briller les cieux.


Je saigne en regardant ma vie
Qui va s'éloigner sur les flots;
Mon âme unique m'est ravie
Et la sombre clameur des flots
Couvre le bruit de mes sanglots.

Qui sait si cette mer cruelle
La ramènera vers mon coeur?
Mes regards sont fixés sur elle;
La mer chante,et le vent moqueur
Raille l'angoisse de mon coeur.


大気はリラの妙なる香りに満ち溢れ
壁のてっぺんから下まで咲いているその花たちは
女たちの髪を香らせる
海は太陽の中ですっかり燃え立ち
くちづけしようと迫りながら細かな砂の上で
きらめく波たちがうねっている

おお空よ 彼女の瞳の色を帯びた空
花咲くリラの中を歌いながら吹くそよ風よ
あらゆるものを香らせようとする風
小川よ、彼女の服を濡らす小川、おお緑の小道よ
彼女のかわいい小さな足もとで震えている小道
私を愛しい人に会わせておくれ!


私の心は目覚めたのだ ある夏の朝
ひとりの美しい少女が岸辺にいて
その澄み切った瞳を私の上に投げかけて
やさしくはにかんだ様子で私に微笑んでくれたから

青春と愛が姿を取ったようなお前が
まるで万物の魂のように私の前に現れたのだ
私の心はお前の方へ飛んで行き、お前はそれを帰らせてはくれなかった
そして半ば開けた空から 私たちの上にバラの雨を注いだのだ


なんと悲しくも荒々しくも
別れの時は響くのか!
海は岸辺で渦巻いていた
あざけるように、そしてほとんど気にもとめていないように
今が別れのときなのだなんてことに

鳥たちも通り過ぎてゆく、翼を広げて
とても陽気そうに深い淵の上を
巨大な太陽の下 海は緑色に映え
そして静かに私は血を流す
この空の輝きを眺めながら


私は血を流し 人生を見つめる
波に乗って遠ざかってゆく人生を
私のただひとつの魂は奪い去られ
波の陰鬱なざわめきが
私の涙の音をかき消すのだ

誰が知ろうか この残酷な海が
彼女を私の心に連れ戻してくれるかどうかなど?
私の視線は彼女に釘付けとなり
海は歌い、おどけた風は
私の心の苦悩をあざけり笑う


ショーソンの代表作のひとつがこの作品19、オーケストラまたはピアノ伴奏と独唱によるこの「愛と海の詩」です。ワーグナーを淡白にしたような彼独特の不思議なオーケストレーションの味わいもあって、オーケストラ伴奏で演奏される方がこの音楽のムードは最大限に引き出されるように思われますが皆様はいかがでしょうか。ついでに言えば彼自身はこの曲をテナーの独唱のために書いたのだそうですが(詩の内容も男の失恋ですし)、現在では女声に歌われることが多いようです。男声でもスゼーやル=ルーのバリトンが歌っているものはありますが、オリジナルのテナーによるものはほとんどないようで、私も耳にしたことはありません。

詩はショーソンの友人でもあるモーリス・ブショールの「94の愛と海の詩」より。第1曲目の「水の中の花」と第3曲目の「愛の死」がそれぞれ詩集のサブセクション名に対応し、各曲にそれぞれ詩集のそのセクションから3篇ずつ選び出して組み合わせています。曲の中でも詩と詩の間には長い間奏を入れていますので詩が切り変わったことは音楽だけ聴いてもわかるようにはなっています。上の詩では別の詩となる部分に2行の間をあけておきました。
(なお、Emily EzustのLiedのHPによれば、このうち最後の詩の後半2節はブショールの詩集にないそうなので(私自身は原詩にまだ当たれず未確認)、ここの間にも2行開けてあります。
ショーソンは初演時にはこのそれぞれの詩の部分に次のようなサブタイトルをつけておりました。
1.Pressentiment  予感
2.Rencontre    出合い
3.L’adieu      別れ
のちの出版時にはこれらは削除されたのだそうですが、一応ご参考までにご紹介しておきます。

( 2011.10.01 藤井宏行 )


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