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La caravane   Op.14  
 
キャラバン  
    

詩: ゴーティエ (Théophile Gautier,1811-1872) フランス
    La Comédie de la Mort  La caravane

曲: ショーソン (Amédée-Ernest Chausson,1855-1899) フランス   歌詞言語: フランス語


La caravane humaine au Sahara du monde,
Par ce chemin des ans qui n'a [pas]1 de retour,
S'en va traînant le pied,brùlée aux feux du jour,
Et buvant sur ses bras la sueur qui l'inonde.

Le grand lion rugit et la tempète gronde:
À l'horizon fuyard,ni minaret,ni tour;
La seule ombre qu'on ait,c'est l'ombre du vautour,
Qui traverse le ciel,cherchant sa proie immonde.

L'on avance toujours,et voici que l'on voit
Quelque chose de vert que l'on se montre au doigt:
C'est un bois de cyprès,semé de blanches pierres.

Dieu,pour vous reposer,dans le désert du temps,
Comme des oasis a mis les cimetières:
Couchez-vous et dormez,voyageurs haletants!

人間のキャラバンが、この世のサハラの中
年月の道の上を、引き返すこともなく
足を引きずりながら歩み行く、太陽の熱に焼かれながら
腕ににじみ出る汗を啜りながら

強大なライオンは咆えかかり嵐はうなる
遠ざかる地平線にはミナレットも塔もない
たったひとつの影、それはハゲタカの影だ
そいつは空を横切っているのだ、不浄の獲物を求めて

彼らはさらに進み続け、そしてそこに見るのだ
緑色をしたものを そして指で指ししめす
それは糸杉の森だ、白い石が散在している

神は、時の砂漠の中でお前たちの休息にと
オアシスのように 墓場を設けられたのだ
横たわり、そして眠れ、息を切らした旅人たちよ!


繊細で抒情的な曲がほとんどのショーソンにあって、この曲は珍しく雄弁でドラマティックです。人生の歩みをサハラ砂漠をあえぎつつ進んでゆくキャラバンにたとえて、その最終目的地は死であることを、そしてその死が実はやすらぎのオアシスであることを高らかに宣言しています。
初めは静かな音楽は遠くからやってくるキャラバンの描写でしょうか。やがて音楽は同じリズムを刻みながら力強くなってゆき、そして最後は晴れやかに終わります。
ゴーティエの詩も鮮烈にビジュアルなものですが、ショーソンのつけた音楽も見事です。ミナレットというのは回教寺院にある尖塔のこと。サハラの横断ですからまさにぴったりの素材ですね。

( 2011.08.26 藤井宏行 )


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