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Frühlingsgruß    
 
春のあいさつ  
    

詩: アイヒェンドルフ (Josef Karl Benedikt von Eichendorff,1788-1857) ドイツ
    Gedichte - 4. Frühling und Liebe  Frühlingsgruß

曲: ランゴー (Rued Langgaard,1893-1952) デンマーク   歌詞言語: ドイツ語


Es steht ein Berg in Feuer,
In feurigem Morgenbrand,
Und auf des Berges Spitze
Ein Tannbaum überm Land.

Und auf dem höchsten Wipfel
Steh ich und schau vom Baum,
O Welt,du schöne Welt,du,
Man sieht dich vor Blüten kaum!

山は燃えている
輝くような朝焼けの光に
そして山の頂では
一本のもみの木が大地から聳え立つ

この木のてっぺんに
私は立ち、そして見下ろす
おお、世界よ。この美しい世界よ
花を眺めているだけでは気づかない世界だ

アイヒェンドルフの自然を賛美する素敵な詩ですが、これに付けられた歌曲は意外と少ないようです。中ではこのルーズ・ランゴーのものが出色。
オペラ「反キリスト」であるとか、キリスト教終末思想にかぶれて1910年代に早くもトーンクラスターやミニマルの技法を取り入れた奇怪にして巨大な作品群を生んだ人として、ある意味キワモノ好きの人の話題にしかなっていない感もある人ですが、20歳そこそこで多く書かれたピアノ伴奏による歌曲はごくごく真っ当な歌曲になっています。いや、むしろシベリウスの歌曲でも感じるような、あまり北欧らしくない濃密なロマンが非常に心地よい力作揃いではないかと思います。
彼は詩のテキストとしてこのアイヒェンドルフはじめ、ゲーテやハイネなどのドイツの詩人につけたドイツ語の歌曲が多いようですが、若書きにも関わらず非常によくできたドイツ歌曲といっても良く、聴き応え充分です。
この曲の角笛を思わせるような堂々たる伴奏に乗って決然と歌われるそのスタイルは、シューマンやシューベルトの良質のリートと比べても遜色ない出来ではないでしょうか?
逆にこの若さでここまで完成された作品を作ることのできる才能を持て余したがゆえの20代半ばからの彼の音楽の先鋭化への発展なのかも知れません。
そんなことを思いながら、この素敵な「ドイツリート?」を楽しませてもらいました。
(Anne Margrethe Dahlのソプラノ、Ulrich Staerkのピアノ、Dacapoレーベル)

( 2004.05.31 藤井宏行 )


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